【体験談】うつ病になった時に感じた心の症状4つ~偏見緩和の為に

うつ発症当時、職場が要塞に見えた

こんにちは。フリーライターの林谷です。
今日は「うつ病」についてお話しします。

うつ病やその症状に関して、未だ偏見がある

うつ病に対する偏見の言葉を、未だに発する人がいるとは…

実は「うつ病」については、あまりここではお話ししないつもりでいました。というのは、これまでに過去ブログで沢山書いてきましたし、前の職場でもうつ体験について書いてきたので、『ここでは(書かなくて)いいかな』と思っていたのです。

ただ、ここ最近芸能人のうつ病公表に関しての偏見がある話題を目にしました。『楽をしている』とか『努力が足りない』とか、僕からしたら『何時代の話をしているの?』というような言葉を発する人が未だにいるんだな…と呆れたのです。

やはり自分が発症するまでは、身近に感じにくい症状が多い

ただ、僕自身も発症前のことを考えると、『当事者にならない限り想像しにくい』ことも分かります。うつを経験する前、僕の職場でも何人かうつ病に悩む方がいました。今から考えれば本当に申し訳ないことなのですが彼らに対して、『別世界の人』『何か気が弱いんだろうな』くらいの印象しか持っていませんでした。ごめんなさい。

それで僕自身もうつ病を発症することで、ようやく『風邪より症状は重いけど、風邪のように身近な病気』であることが分かったのです。それくらい、なるまでは身近に感じにくいものと言うことも分かります。

また、こうした症状についてリアルタイムで発症していると、具体的に分かりやすくどんなものか説明することって、100%無理です。まずそうして冷静に考えられないことも症状に入りますから。

だからこそ、元の生活に戻っている僕が伝えておきたい。そう思ったのです。では、今日は自身が感じた、『目には見えにくい“うつ病”の心の症状』を4つ紹介します。


【体験談】うつ病になったとき感じた、『心の症状』

①寝れば寝るほど最大HPが減る

1つ目は『寝れば寝るほど最大HPが減る』ことです。お分かりの方が多いと思いますが、念のため言っておくと『HP』はロールプレイングゲームでよく使われる『ヒットポイント=体力』のことです。

例えば、最大HPが『100』あったとします。仕事で疲れて帰ってきて、HPが『25』まで減ったとしましょう。でも寝れば、また100まで回復します。疲れが残っていてもせいぜい90くらいでしょう。ただこれも体力が回復しきっていないだけで、マックスはやっぱり『100』のままなんです。

これがうつ病になった時の感覚はこんな感じでした。はじめは『100』あったHPが50まで減ります。で、疲れて眠ります。朝起きるととりあえず全快している感はあるんです。でも、なぜかすぐに疲れます。

そうです。最大HPが『50になっているんです。あとはこれの繰り返しで、50から疲れて25になって、朝起きると全快しているけどもっと疲れやすくなっていて…という。

こうして朝からバテるまでの時間がだんだん短くなっていって、最後には職場に居るだけで息切れ状態でした。5分に1回はトイレ行ってました。緊迫感に耐えられなかったからです。疲れが残る、という感覚よりもこうして『体力がどんどん落ちていく感』を肌で感じていました。

②朝起きると、首や手足の起こし方が分からない

2つ目は、『朝起きると、首や手足の起こし方が分からない』ことです。

うつ病を発症している人が『朝起きられない』という話は、経験していない方でも良く聞く症状ではないでしょうか。さらには『やる気がないだけ』『気合いで何とかなる』など、批判や偏見の対象になりやすい症状でもあります。

これ、強く言っておきます。精神的に辛くて起きられないだけではありません。体の起こし方を忘れたような、そんな感覚になります。『あれっ‼?手ってどうやって上げるんだっけ?』『首を起こすってどうやったっけ…?』こんなふうに、体のスイッチをどう動かしたらよいか、機能していない感覚なのです。

ですから眠くて起きられないだとか、疲れているから体が重いだけとか、そういう次元でないことだけでも覚えておいてもらいたいと思っています。

③職場が沈黙の大要塞に変貌する

3つ目。『職場が沈黙の大要塞に変貌する』ことです。

サムネイル画像で紹介しましたが、まるで職場が『要塞』のように大きく感じ、自分に“圧”が来るような感覚があったのです。この圧が職場に近づくごとに大きくなっていきます。

うつ病を経験していないと笑ってしまうかもしれませんが、職場の目の前でUターンして帰宅なんてことも多くありました。これはこの『』が原因です。

また、このプレッシャーだけでなく妙な罪悪感もプラスされて苦しみます。症状の特徴でネガティブな発想になりやすいため、『自分は職場で役に立たなかった』という気持ちも一緒になって攻めてくるんです。

④これまでに聴いてた音楽が“毒”に変わる

4つ目。『これまでに聴いてた音楽が“毒”に変わる』ことです。

僕はそれまで、通勤中に音楽を聴いていました。ロックやパンク、テクノやクラシックまで幅広く聴いていましたが、だいたい朝のルーティーンとしてよく聴いていたのはロックでした。

これが、全く受け付けなくなります。耳に入ったとたんに毒に侵されたように脳内がぐちゃぐちゃになる感覚になりました。これはルーティーンとして聴いていたため、うつの原因である『職場』を連想してしまうことも関係していますが、それを抜きにしても『嫌な刺激だった』ことを今でも覚えています。例えていうなら、きれいにした部屋の中をぐちゃぐちゃにされる感覚です。

その中で当時聴けた音楽は、こちらの記事で紹介している『水のメロディー』という水の音メインのヒーリング音楽だけでした。少しずつ回復していき、聞ける音楽も戻って言った形です。

今は元に戻っていますが、あの時ほどヒーリング音楽が心身に効いた時期はありません。脳を肩叩きされる感覚でしたから。


おわりに

いかがでしたでしょうか。

少しでも『”うつ”の生々しさ』が伝わっていただけましたら幸いです。これ以外にも分かりやすい変化として激ヤセ(身長172センチで体重38キロ)、その後激太りも経験しました(38キロから73キロまで増量)。これも再就職するまで戻りませんでした。

本当に先が見えない日々がおよそ4年、続きました。うつ病は、目には見えにくい病気です。だからこそ僕はうつ病を経験したことで、見えない症状に悩む方でも頭ごなしに否定することはなくなりました。

人って本当に意味で共感するには、同じ経験をするしか方法はないと思います。でも、分かってもらうためにうつになることはできませんし、望んでもいません。だからこそこのような形でお話しさせていただきました。ほんの少しでも偏見を和らげる言葉として生きてくれたら…そう願っています。

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