大人の発達障害が苦手としやすい『マルチタスク』を調べてみた

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マルチタスクとは何なのか、詳しく調べてみた

こんにちは。フリーライターの林谷です。
今日は発達障害を持つ方が『苦手』と思いやすい「マルチタスク」についてお話しします。

筆者である僕自身も発達障害のひとつ、『ASD(自閉症スペクトラム)』を持つ当事者です。生活や仕事などで頭の中の『やらないといけないこと』『意識するべきこと』が増えると、ひどく混乱します。

この『マルチタスク』ですが、『具体的にどんなことですか?』と聞かれると、何から何までが該当するんだろう…何をマルチタスクっていうのだろう…?と悩むことがありました。

そこで今回はこの際はっきりさせていこう、ということで『マルチタスク』についていろいろ調べてみました。


【調査結果いろいろ】マルチタスクとは?

マルチタスクとは

まずはマルチタスクの定義について、様々な資料を調べてみました。『goo国語辞書』では、マルチタスクについて以下のように説明しています。
1 二つ以上のプログラムを、1台のコンピューター内で見かけ上同時に実行すること。あるプログラムの入出力の待ち時間中に、他のプログラムを実行すること。プログラムの切り替え方により、プリエンプティブマルチタスクとノンプリエンプティブマルチタスクの二つの方式がある。マルチプログラミング。マルチプロセス。

2 同時にいくつかの仕事をすること。また、そのさま。「マルチタスクな法律家」「マルチタスクな活動」

簡単に言うと『コンピュータの同時処理』か『人間が2つ以上の仕事を並行して行う』という表現でしょう。

マルチタスクについて感じたこと

人間のマルチタスクは「作業の同時進行」だけなのか

「マルチタスク」の意味を調べた結果、今お伝えした内容からは『人間に向けた“心理学的な”意味』では、仕事や作業を並行して行うことの表記しかありませんでした。

ですからこれだと『表面的に2つ以上の作業をしていなければ、同時に考える・意識することはマルチタスクにはならないのか』ということが気になりました。

どうしてここまで気になるのかというと、僕自身作業のマルチタスクの『作業』への苦手意識はあまりなく、むしろ頭の中で複数のことを意識していることのほうが遥かに辛いからです。かつて職場で『同時に意識する『マルチタスク』が辛いです』と伝えたら、

マルチタスクとは作業のこと。そうやって同時に意識することはマルチタスクではない

こう言われてしまったんです。自分の辛さを受け入れてもらえなかったことに、ひどく落ち込みました。確かに調べた内容では一見、人間には『2つ以上の作業を並行して行う』これだけしか該当しないのかとも思いました。

これだけでは納得がいかなかったので、さらに深堀して調べていきました。

根本を考えると「作業」ではなく『脳の処理』がポイントと気づいた

そもそも『タスク』とはなにかを調べてみた

そもそも「タスク」という意味についても、分かり切っていない部分がありました。大手IT企業の一つである、大塚商会のホームページをもとに、意味を調べてみました。こちらでは「タスク」について

複数のタスクを同時並行して実行するコンピューターのシステムを指す。「タスク」とは、コンピューターが処理するプログラムの処理単位のこと。

このように説明しています。この結果マルチタスクはコンピューターが実行する様々な作業ではなく、そのプロセスである処理に焦点を当てた言葉なのです。これを人に例えると、『脳』の動きにも該当する部分はあるのではないか、と感じたのです。

マルチタスクかどうかは『処理する脳の領域』によって決まる

さらに掘り下げていき、アメリカの心理学会までたどり着きました。こちらのホームページでは、マルチタスクについて以下のように説明されていました(本文は英語の為、翻訳ツールを使用しています)
一度に複数のタスク、特に複数の複雑なタスクを実行すると、生産性が低下します。電子メールを確認しながら電話で話した人や、運転中に携帯電話で話した人を驚かせることはありませんが、問題の範囲はショックになるかもしれません。

人々が一度に複数のタスクを実行しようとしたときに認知(精神プロセス)に何が起こるかを研究する心理学者は、心と脳が強力なマルチタスクのために設計されていないことを発見しました。心理学者は、仕事を振り付けや航空交通管制に例える傾向があり、他の場合と同様に、精神的過負荷は破局を引き起こす可能性があることに注意してください。

さらにこちらのサイト記事『マルチタスクとは?【脳への影響】人間にデメリットとなる本当の理由』で興味深いことが書かれていました。
マルチタスクは、誰かが2つのタスクを同時に実行しようとしたときに発生します。あるタスクから別のタスクへ、または2つ以上のタスクを連続して実行します。
作業するには、「作業の目標」を意識する必要があります。
したがって、目標にも脳の領域を使います。 
これらの資料で分かったことは、マルチタスクの発生は『実行した』ときではなく『実行“しよう”とした』ときに発生することです。またこのサイトでは、作業を行うために『集中すること』『注意すること』に労力を使うと説明されており、場合によっては事故などのリスクが高まる恐れもあるとありました。

また同サイトで
音楽は、脳の別領域を使います。
音楽を聴きながら勉強をするのは、それほど悪い影響にはなりません。

とも説明されていました。ここでも『作業』についてより、『脳』によってマルチタスクかどうかが決まることが解釈できます(このサイトでは印象的な歌詞やインパクトのある音楽に関して、『集中』『意識を向ける』ケースがある場合など個人差があると補足されています)。

その他マルチタスクについて、具体例など分かりやすく解説されていました。気になる方は、上記のリンクか下記の参考リンクから見てみてください。

結果、僕の『マルチタスク』についての伝え方はこうなった

こうして様々な情報を取り入れ調査した結果、僕が苦手なマルチタスクについての伝え方がまとまりました。企業にマルチタスクが苦手なことを伝えたいときの参考としてくれますと嬉しいです。

【自身のマルチタスクについて】

(苦手なマルチタスク)
複数の作業や指示を並行して意識し続けると、精神的負担がかかります。かつ、パフォーマンスが大幅に低下します。

◆2つ、3つほどでしたらまだ対処できる余地はあります。しかしそれ以上の項目を求められたり、指示の項目自体が二転三転するなどあると対処が難しくなります。メモをしようとする段階で混乱しているため、この状態でメモを取ることも難しいです。

複数の指示を設ける場合、その優先順位や順序を自分で判断する事が苦手です。

◆一つの漠然とした項目から、複数の作業を自分で探すことも苦手です。ただし、予め作業項目が決まっている場合や、項目を絞る代わりに回数を分けて繰り返し行うなどすれば対処できるケースもあります。

(問題なくできるマルチタスク
作業的なマルチタスクにあってはできるものもあります。パソコン画面を見ながら書類のチェックをする話を聞きながらメモを取るなどは可能です。ただし電話対応は、この『聞く』に強く意識を向ける為、対処が難しくなります。

パソコンを見ながら書類のチェックをする。関係しているものはもちろん、この2つが関連していない場合でもできるケースがあります(パソコン画面と書類は別の内容)

◇その他『』『』『』と使う器官が分かれていれば並行してできる可能性もあります(耳でプリンタの状況を意識しながら、目と手はパソコン画面に向けるなど)。

自身が持つ『マルチタスク』について、細かくまとめてみました。
具体的な作業や業務に沿って説明することで、相手にも想像しやすい伝え方を心掛けていきたいと思います。

おわりに

『マルチタスク』について、納得するまで深堀りしてきました。今回のマルチタスクのように何となく知っているけれど詳しくは分からない…そんな漠然としたイメージのまま眠っている言葉、ありませんか?いざというときに知っているかいないかで自、後に直面する物事が大きく変わってくるかもしれません。

僕も今回マルチタスクについて詳しく知っておけば、職場で深く落ち込まなかったかもしれません(辞める意思は変わらなかったと思いますが)。

自分の心を守るために、このような曖昧さを一緒に消していきましょう。また気になるワードがありましたら、徹底的に掘り下げていきたいと思いますので、お楽しみに!


【セットで読むと良いかも】



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