こんにちは。発達障害とHSPを併せ持つフリーライター、林谷です。
今日は発達障害を持つ人にありがちな『“ありがとう”が言えない』方の原因をTOP3にして紹介していきます。
障害者雇用の職場で、同じ発達障害を持つ方と接してきた
どうしてこの話をしようかと思ったのか。
それは僕が障害者雇用の事務職として勤務していた時代、(本人申告がないのであくまでも推測ではありますが)同じ発達障害の特徴を持つ方たちと勤務したことがあります。その方たちとの関わりの中で『ムッとした』ことがあります。それが『“ありがとう”を言ってもらえないこと』でした。
『どうしてあの人はお礼が言えないのかな?』とよく悩んだものです。『何か自分が悪いことをしたのかな』と苦しんだ事もありました。そうして考えた結果、ある共通点があることに気づきました。ちなみにタイトルは『発達障害』とありますが、あくまでも傾向としてあるということであり発達障害を持たない方にも良く見受けられることです。ですから障害の有無に限らず、対人関係改善のヒントとしてもぜひご覧ください。
では早速、その3つの共通点を紹介していきます。加えて自分が対象かもと思った場合と、周囲に該当する方がいた場合の対処法についてもお伝えします。
【発達障害のコミュニケーション】ありがとうが言えない原因TOP3
第3位:余裕がない、焦っている場面でつい、忘れてしまう
第3位は、
『余裕がない、焦っている場面でつい、忘れてしまう』
ことです。
まずこのケースは、人に何かヘルプを出すタイミングが遅いことも特徴の一つとしてあります。『できる限り他人と関わりたくない』『人に事情を説明するのがめんどくさい』こんな理由から、ついギリギリまで自分自身で片づけようとしてしまうのです。
正直これ、僕も傾向としてはありました。他人の頼みを受けるのは得意なんですけど、他人に頼むのが下手なんですよね。他人に『手放す』『委ねる』ことで自分のイメージと異なるものを出されるとイラッとくることがあるので、どうしても自分でやろうとすることがありました。
僕の場合は、こうなると良いことがないと認識していたので、自分で境目を決めて、それ以上は他の人に頼むように意識していました。とにかくギリギリ精神は、人に感謝を伝える余裕をなくす一因になりやすいことを覚えておいてください。
【対処法・改善のヒント】
◆自身にその傾向を感じる時は
→仕事の段取りをあらかじめ決めておきましょう。行きあたりばったりではなく計画的に行うことが重要です。さらにその仕事の流れを上司などに共有できるようにすると、周囲にも自分の状況が伝わりやすくなり、そもそもの『ギリギリ状態』になりにくくなります。計画することが苦手な場合は、他者や管理アプリなどを活用してみると良いかも知れません。
◇周囲にそのような方がいたら
→ギリギリ状態になる場合は、必ずその傾向があります。決まった時期や決まった仕事を行うときなど、何かしら傾向があることが多いです。この傾向が見えた時に、少し早めに上司に相談することや、可能であれば早めに声をかけるなどすることで、これを予防することができるかもしれません。
第2位:お礼を言う相手を選んでいる
第2位は、
『お礼を言う相手を選んでいる』
ことです。
発達障害の特徴を持つ人の中には、自分の中ではっきりと『敵』『味方』と区分けをする人がいました。この『敵』と思われている人相手にどんなに誠意を持って接しても、お礼を言われることがないか、明らかに不満顔で儀礼的に『アリガトウ』と言われるだけ…そんな感じだったことを経験しました。
『好きな人はどんなことをしても好き』『嫌いな人はどんなことをしても嫌い』とはっきり分けることで気持ちを安定させようとするのか、端からみても『不公平』と分かる態度を示す人がいたことを覚えています。
あなたの周りにも『敵か味方か』で区別する人、いませんか?
【対処法・改善のヒント】
◆自身にその傾向を感じる時は
→その人がどうして嫌なのかを思い出してみましょう。お礼を言うべき行為以上に、あなたが嫌うような害のある行為をされたことがあったのか思い出してみてください。
単に周囲の噂で判断していただけだった、何となく嫌いなだけであったのなら、意識を改めるべきです。もしひどいことをされたことがあるのであれば、本人に心境の変化があったのかなどを上司をはじめ第三者に相談してみましょう。
◇周囲にそのような方がいたら
→正直、すぐに相手の思い込みを直すということは難しいでしょう。特に発達障害を持つ人の場合は、極端な思考などから一度持った意識を改めるということが苦手な方もいます。
ですからもしそこまで関わる必要がないなら距離を取る。どうしても関わらないといけない場合は相手に『ギブ』し続けて根気良く接するか、上司などに相談して間に入ってもらうなど工夫してみましょう。
第1位:結果に対してお礼を言えばよいと思っている
第1位は
『結果に対してお礼を言えばよいと思っている』
ことです。
分かりやすく例を挙げて説明します。例えばあなたが同僚から『書類を探す』ように頼まれたとしましょう。一生懸命時間を割いて同僚のためにあなたは書類を探しました。でも、自分自身担当外のことで詳細を知らなかったこともあり、見つけられなかったとします。
こういうときに『ありがとう』を言わないケース、多いんです。こういう人(今回の場合「同僚」)は、自分にとって有益になる行動をしてくれた時だけにお礼を言うものだと勘違いしていることがあります。その他結果として得られなかった場合は『探してくれたプロセス』を見ることなく『見つけてくれなかった』『使えなかった』と言う気持ちが前面に出てしまうのです。
その気持ちがふくれっ面をしたり、『あっそう』みたいなそっけない顔をしたりする行動に表れる時があります。
【対処法・改善のヒント】
◆自身にその傾向を感じる時は
→実際に自分もその行為をしたことがあるなら、そのプロセスをイメージしてみてください。汗水たらしてあなたのためにしてくれたこと、もしかしたらいろんな人に頭を下げて回ってもらった結果、それでも分からなかったのかもしれません。
あなたにとってプラスかゼロかという基準ではなく、お礼はそのプロセスにするものだということを覚えておいて下さい。
◇周囲にそのような方がいたら
→これもまた、自分一人で相手の意識を変える…と言うのは難しいことです。ただ自分でできることとして、相手に分かりやすくプロセスも説明することで改善する可能性があります。
上の書類探しの例で言えば、『探しましたが見つかりませんでした』を『書庫の○○の捜索と、事務管理室の方に問い合わせてみましたが、見つかりませんでした』のような、プロセスが分かりやすい表現を“少しだけ”加えてみましょう。
相手にも行った状況が見えることで、『お礼を言わなきゃ』と思ってもらえるようになるかもしれません。ただし過剰に言うことはもちろん、多く言い過ぎると『当てつけ』になってしまいますから、『行った状況が伝わる程度』に留めることに注意してください。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
『ありがとう』『ごめんなさい』幼稚園でも習うような言葉でありながら、これを言えない、上手く表現できないことですれ違うことは、大人になってからも永遠のテーマだったりしますよね。
本当に何をやっても誰からも感謝されない職場なら、環境を変える方が早い時もあります。しかし『今の職場でもう少し頑張りたい』と思っているのであれば、対処法の一つとして心にとどめておいてもらえると嬉しいです。
【発達障害に関する記事はこちらもおすすめ】
コメント