【自己分析】発達障害が白黒思考になる5つの仕組み。対策は?

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「発達障害」と「白黒思考(極端な思考)」についてのお話です

こんにちは。フリーライターの林谷です。
今回は僕自身も当事者である『発達障害』に関する話をしたいと思います。

タイトルの通り、発達障害はよく

◆白黒思考


◆0・100思考(ゼロヒャク思考)


◆全てか無か思考


これらすべて同様の意味を持つ言葉ですが、上のような『二択を迫る極端な思考』をすることがあります。僕も特に精神的に不安が高まっているときなど、この傾向が今でも出てくると考えています。

前の職場である障害者支援サイトで、ライターとして1年間およそ700件以上にわたる記事を書いてきました。その中で、今回の白黒思考についての記事も書いたことがあります(権利の関係でご案内できず、ごめんなさい)。

ただ、企業のサイトですので、個人的見解は控えたものを記事にしました。もちろん、内容としてはしっかりと調べたうえで書いています。

しかし、『自動思考』などそこでは一般的な原因や対処を書いてきましたが、実際に『発達障害がどうして白黒思考を招きやすいのか』という具体的なところまでは書ききれませんでした。

そこで今回は僕の経験から『どんな理由から白黒思考につながったか』を振り返ってみました。その自己分析の結果、『5つ』の原因が思い当たりました。

参考:白黒思考を改善する「認知行動療法」とは|公認心理師が解説
参考:自動思考とは?認知行動療法の考え方を学ぼう!コミュニケーション能力UP
参考文献:今日から使える 認知行動療法 | ナツメ社


【自己分析】発達障害が白黒思考になる仕組みを考えた

仕組み①【ASD】曖昧さに耐えられない

1つ目は
曖昧さに耐えられない
ことです。

これは僕の持つ
ASD(自閉症スペクトラム)』の影響が強いかもしれません(僕が持つASDについてはこちらをご覧ください)。

ASDは特性として、『暗黙の了解』や『曖昧な表現』の理解や判断が苦手と言われています。僕自身もこの傾向があり、ハッキリしないことに対してイライラすることがあります。そうできないことにも、です。

バランスがいい解釈(白黒でない、グレーな解釈)って、僕には意図や、その先の方向性が見えないときがあるんです。見えないと、不安になるんです。予め『大丈夫だ』と思える根拠や条件のあるものを除き、曖昧なものは『結局”どっち”なんだ!』って思ってしまいます。

そう決めきれないこともある…とは分かっているのですが、食べ物のアレルギーみたいなもので、精神的にゆとりがないときは、受け入れられないんです。
参考:【図表でわかる!】ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー)の特徴 | ASDって何?どんな困りごとがあるの? : 【図表でわかる!】発達障害 - TEENS

仕組み②不安解消のため、確実な手段を取りたい 

 2つ目の理由として、
不安解消のため、確実な手段を取りたい
というものです。

少し余談になりますが、例えば先日の新型コロナウィルスの影響で、トイレットペーパーが大量になくなるということがありました。事実ではない情報が溢れたせいで、一時期混乱が生まれたのです。僕は生活の流れを変えたくなかったので、普段通りのペースに近い形で買っていました。

でも、この件に関して不安が強まった人たちもいたわけです。

『買えなくなったらどうしよう』

『どうなるかわからないから、たくさん買っておこう』

という人が増えすぎて、一時期品薄の状態になりました。これも一部では、バランスを崩した、極端な思考から出てきているはずです(この件が落ち着いて、とりあえず安心です)。

発達障害で白黒思考が強くなっている時って、常にこういった強い不安に襲われている時でした。

悪いことが起きたらどうしよう…

と最悪のケースを軸に考えることが多いです。

だからこそ、”絶対”安全だと思い切れる方法を取っておきたい。そうすることで『絶対安心だ』と思いたい。こう考えてしまうのです。

参考:トイレットペーパーなぜ消えた?新型コロナウイルス感染拡大での集合心理を分析①【社会心理学編】 | 東大新聞オンライン

仕組み③インパクトの強い思考をしないと、自分の存在を感じられない 

3つ目は
インパクトの強い思考をしないと、自分の存在を感じられない
ことです。

今でこそなくなりましたが、学生時代のころはこの傾向、ありました。
他と同じような考えや地味で目立ちにくい考えだと、『自分らしさ』を感じられないのです。

『このままだと他人の中に埋もれてしまうのではないか』

『自分の考えを受け入れてもらえないのではないか』

このような不安に襲われてしまうため、『インパクト』を求めてしまうことがありました。

この影響で、

◆相手との言い合いの時などで、言い負かすために話を大きくする

◆注目を集めるために、敢えて極端な言い方をする


こんな言動をすることもあったかなと思っています。『虚言癖』のようにひどくなる前に改善できて、安心しています。

参考:「虚言癖」を引き起こす原因と「嘘をつく人」の特徴 | TABI LABO

仕組み④極端な思考を取ることで、気にする項目を減らしたい

4つ目は
極端な思考を取ることで、気にする項目を減らしたい
ことです。

今日は分かりやすく『カウンターの座席』を例にして解説します。僕の下手な絵にどうかお付き合いください。

このカウンターには、全部で5つの席があります。
極端な思考を取らない場合の例
極端な思考を取らない場合の例

上の図のように真ん中に座れば、他の席を見る時には左、右ときょろきょろと見る必要がありますよね。間の2席も意識は同じです。

極端な思考を取れば、意識の向け方を制限できる
極端な思考を取れば、意識の向け方を制限できる

しかし、この図のように両端に座った場合はどうでしょう。
右端なら左方向左端なら右方向にしか、人は座らないですよね。ですからわざわざ左右をきょろきょろしなくても、片方さえ見れば済みます。そのパターンも1つです。

この左右をキョロキョロ見る=同時に多方向を意識する。これが少なくとも僕にとってはしんどいです。力の入れ具合とかが分からなくなります。

このような『意識の負担』を減らしたい。あれこれ同時に考えたくない。双方のバランスを保つことに、疲れたくない。気にするべき項目を一つでも減らしたい、限定したい。

こう思うことから極端な思考になることがあります。
この『意識することを減らしたい』という原因は、今でも稀に起きる心理ですね。

仕組み⑤決まりや正解が見えないと、不安が高まってしまう 

5つ目は、
決まりや正解が見えないと、不安が高まってしまう
ことです。

先ほどの『曖昧さ』にも通ずる点ですが、何を根拠にして決めればよいか分からないと、不安になります。不正解を選ぶことに、とんでもない恐怖感があります。そのために『決まり』や『正解』を意識して、その通りに自分はやっているんだと思いたいことがあるのです。

しかし、人の心情や価値観などは、曖昧なものであることが多いです。答えや明確な正解は、ほとんどありません。そういったものも『だいたい』『適度』などの観点では、安心できません。『正しさ』『答え(正解)』をしっかり把握したい。このような『共通認識』への意識が強いときがありました。

これが一番、相手を傷つけてしまいやすい原因かもしれません。相手にとって踏み込まれたくないところにまで、追及することになりがちですから。

過去にコミュニケーションで失敗していることもあるため、こうして過度に正解を求めることは、今でも少しあります。


白黒思考を改善するためにしている対策は?

①健康状態を保ち、疲労を溜めない 

僕は身体が疲れていると、極端な思考に陥りやすいと感じています。理由は、自分の身を守るためです。ですからこのような状態にならないよう、常に体の疲労を溜めないようにしています。

日々の状態を記録し、些細な変化にも気づきやすくする。そうして精神的な負担がかからないよう、リラックス状態を保つのが現在の課題の一つです。

②必ずメリット・デメリットの両方を考える 

極端な思考の時には、先ほどの座席のケースのように、一方しか見えていないことが多いです。

ほとんどの物事は、一辺倒な見方だとリスクが生じます。
そのため必ず、少なくともメリットとデメリット、この両面から判断するように意識しています。

③極端な思考のすべてが悪いと思わないようにする

白黒思考は確かに周囲との価値観が合いにくいなど、人との関わり方の面で問題になりやすいこと。自身の中で負担をかけ過ぎてしまうことなどのデメリットがあります。

しかし、その内容によっては極端な思考だからこそ、決断に踏み出せるなどのメリットもある、そう考えています。

例えばこのブログもメリットを強く感じた『極端な思考』で『やってみよう』と決断できました。これをデメリットも考えて慎重に捉えていたら、ブログを始めないか、もう少し判断が遅かったかもしれません。

このような素早い決断や思い切った決断って、全部ではないですが極端な思考から生じていることもあると感じています。だからこそ白黒思考を全否定せず、良い面にのみ活かせる工夫をしていこう、と考えているのです。

おわりに 

これまでの関連情報を見ると、白黒思考について頭ごなしに『思考を改善していきましょう』『認知行動療法が効果的です』と言われている気がしてならなかったんです。もちろんその見解も大切な情報になります。しかし僕には

極端思考は全部悪い、それこそ極端思考だろ!

そんな怒りが涌きました。だからこそどうして起きるのか、その事情にも目を向けてもらいたい。そう思ったのです。

確かに、極端な思考は目立ちやすいです。中には『極端』というだけで、刺激を感じてしまい心にダメージを受けてしまう方もいるでしょう。

人と関わっていく中で相手を全く傷つけずに関わっていく、ということは難しいです。もちろんそれを目指して関わるわけですが、無傷という『極端』を理想としていると、お互いに疲れてしまいます。

だからこそ『度合いを自分で決める』勇気。自分で程度を決め、それに責任を持つことから、逃げてはいけないのかなと感じています。そう感じながら日々、生きています。

見えないことが多くて不安が多いですけど、一緒に歩いていきましょうね。


【セットで読むと良いかも】



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