こんにちは。フリーライターの林谷です。今日は『HSPと”うつ”の関係』についてお話ししていきます。HSPがどのようなものなのか詳しく知りたい方は下記の参考リンクか、こちらの記事をご覧いただけましたら幸いです。
うつ症状の引き金になったHSP気質がある
30歳のころ、職場でうつ病を発症した
僕は30歳のころ、当時勤めていた警察の職場でうつ病になり退職しました。その主な原因は当時の職場の直属の上司との対人関係が一番の原因です。その際に僕は発達障害のひとつ、ASD(自閉症スペクトラム)の診断も受けています。そのため僕はこれまでうつ病やその原因となるコミュニケーションの背景には、この発達障害が関わっているのではないか。そう考えてきました。
HSP気質によって、『うつ症状』の進行を速めていた感覚がある
しかし今から思い浮かべてみると、実際にASDの特徴である『言葉の意図を掴みづらい』『相手の心理を読み取ることができない』などの言動は、うつが進行して冷静に判断できなくなったときくらいしか覚えがなかったのです。
むしろこれからお伝えするHSPの気質によって、うつの進行を速めてしまっていたのかな…と考えるようになってきています。
今回はうつの原因となるHSP気質を3つ紹介した後、今後どのような対策を考えているのかについても話していきます。ぜひ最後までご覧ください。
仕事でうつ症状の原因となった『3つ』のHSP気質
①相手の表情を読み取り、心理をどこまでも想像してしまう
僕がうつ症状となった原因1つ目。
『相手の表情を読み取り、心理をどこまでも想像してしまう』ことです。
HSPは細かな情報、些細な相手の心境にも感づいてしまう『センサー』を持っていることが多いです。僕もよくしてしまうのですが、何か人を見た時に違和感を持ち始めると、こんなことを想像してしまいます。
◆どんな心理からああいう行動に出るのか、相手の心理について分析してみよう
◆あの言動や表情で伝えたいことは何なのか。相手の行動をしばらく見張っていよう
◆もしかしたら、自分にも何か原因があるのではないか。限りなく可能性が0に近くても探してみよう
大概こんなことが勝手に始まっていて、気が付くとひどく疲れています。これをうつ病になった時の職場でも、相手の上司に対して延々と行っていたのです。
一番問題なのは『ただ相手の機嫌が悪かっただけ』など、実際には特に理由がない場合でも深く想像してしまうことです。僕自身機嫌が悪いだけで相手にそれをまき散らすという行為をしないので、尚更理由が分からないこともありました。
どれだけ想像しても、心理についての「答え」は出ません。それでも次の関わりで絶対に傷つかないために、最小ダメージに抑えられるように、あれこれ『戦略』を立ててしまうのです。
こうして常に作戦会議をしていることで、何倍にも心が疲れ果てていきました。
②相手に非があったとしても、それを思う自分に罪悪感を持ってしまう
2つ目の原因。
『相手に非があったとしても、それを思う自分に罪悪感を持ってしまう』ことです。
この職場の時も、今から考えれば相手の上司からひどいことを沢山されました。散々怒鳴っておいて、勝手に落ち込んで周囲に心配してもらえるよう誘ったのです。当然周りは上司の方に歩み寄ります。怒られたのは僕なのに、仲間外れにされました。
こんなことを沢山されているのに、僕は当時うつ症状について相談していた産業医に『原因は上司です』と言えなかったのです。
その理由は、『相手に非があることを認める自分に罪悪感があったから』でした。どんなに相手が悪くても、それを誰かに「悪い」と言ってしまうことで自分自身が汚いものに染まっていってしまうのではないか…という気持ちが潜在的にありました。そのため、何があっても原因を自分の中に求めようとしたのです。
こうすることで、
◆実際には自分に原因がなくても、どんどん探してしまう
◆必要以上に自分を責めることが多くなる
◆怒りの感情を押し殺すことで心の負担が重なる
◆客観的にも本当の原因が見えにくくなる
このような問題が起きていました。本当に我慢しきれなくなって『上司が原因です』と言ったのはかなり後で、産業医にも『どうして早く言ってくれなかったの』と言われました。
どうしても、『相手を責める自分』が許せなかったのです。しかしそうした感情と逆の意識を持ち続けることによって、うつ症状が強まっていったのでした。
③警戒心が強まり、余計にぎくしゃくした関係を進行させてしまう
3つ目の原因は、
『警戒心が強まり、余計にぎくしゃくした関係を進行させてしまう』ことです。
当時僕の職場は、大部屋に100人くらいの従業員がいる感じでした。HSPにとってその状態だけでも、多くの情報を吸収し過ぎて脳内パンクをしやすいものです。僕は当時上司だけではなく、周りの従業員からも『戦略』のヒントになる話(上司の印象や行動など)をしていないか『センサー』を働かせていました。
先ほどの①のような想像をずっとしていれば、もちろん気軽には話せなくなります。周りも『あの人は何を考えているのだろう』と警戒し始めるわけです。こうして他者への警戒心を強くしていくことで、雰囲気が重くなり誰とも気軽に接することができなくなっていました。そのため孤独感をさらに強め、うつ症状の進行を早めてしまったかもしれません。
HSPを持ちながらうつ症状を予防する対策は?
このようなうつを発症してから社会復帰できるまで、4年かかりました。それまで眠れなくなったり夜中に徘徊する癖があったり、激太りしたり…と苦しい思いもしてきました。
このようなことにならないよう、今後対策として考えていることが3つあります。
①相手の心理を読むのにも限界があると意識しておく
1つ目の対策は『相手の心理を読むのにも限界があると意識しておく』ことです。
これは僕もまだクリアできていない課題です。今回ライターの仕事を辞めた際にも原因となった上司(社長)の心理を延々と想像してしまいました。
『社長は僕を必要としていなかったのか』
『どんな理由や意図からあのような言葉を言ったのか』
『もしかして、僕を辞めさせるように仕向けたのだろうか』
『僕が辞めることでいま、どう感じているのか』
こんなことを寝ずに考えてしまうのです。この答えが出ないと気持ち悪いことに関してはASD(自閉症スペクトラム)の特性の方が出ているかもしれませんが、色んなことを想像して分析しようとしてしまう癖については、HSP気質の影響と考えています。
先ほども話しましたが、どんなに考えても答えは分かりません。しかし『想像をやめよう』と思ってもなかなかやめられないので、『想像にも限界がある』と意識するようにしています。
『考えるだけでは答えは出てこない』そうどこかで歯止めを意識しておくことで、心のダメージを緩和させるよう心掛けています。
②怒りの感情を持つことを否定しない
2つ目は『怒りの感情を持つことを否定しない』ことです。
僕自身が負の感情への刺激に弱いために、どうしてもこの『怒り』の感情から目を背けやすいことがあります。しかし実際には怒るような場面でも強引に感情を押し殺す行為は、心へのダメージが大きくなるだけです。
何でも相手のせいにすることは良くありませんし、理由もないのに責めることも良くありません。ただ、今は自然に沸く怒りの感情を外に出さないようにはしても、感情自体を否定しないように気を付けています。
③通勤スタイルの働き方を避け、テレワークの働き方を希望する
対策3つ目は物理的な方法。『通勤スタイルの働き方を避け、テレワークの働き方を希望する』ことです。
僕にとって、オフィスワークは『自分にとって不要・不健全な情報が見えすぎてしまう環境』だと思っています。どうしても通勤スタイルのオフィスワークだと、人間の『負の感情』を感知する機会が出てきます。そうすると下記のような問題に悩みやすいです。
◆時折聞こえるひそひそ話(どうして周りに隠す必要があるのか理由が気になる)
◆自然と周囲の情報をセンサーでキャッチしている
◆言葉以上に表情や雰囲気など、非言語の情報でパンクしやすい
このように、どうしても僕にとって疲弊する要因が多い気がするのです。そのためこのように自宅でライティングをすることや、このブログ以外に何か仕事をする際にも『テレワーク』の働き方を希望するように考えています。
テレワークは過去に一度障害者支援サイトのライターとして1年間経験しています。やりとりはチャットのみですし、受け取る情報を制限できる点が本当に安心できます。かつ、HSPにとって癒しとなる『1人の空間』を保ちながら仕事ができる点もメリットと言えるでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
HSPの特性は人と関わる以上、どうしても生きづらい場面に直面しやすいことがあります。少しでもストレスをためないように工夫するには、
◆自身で感知する特性をコントロールするように意識する
◆特性に合う、負担の少ない環境を選ぶ
このうちのいずれかを行うことで対処していこうと僕は考えています。
同じ当事者の方の中で『こんなことが辛い』『自分はこんな対策をしているよ』などありましたら、ぜひTwitterアカウントまでDMいただけましたら幸いです。
お互い手は抜かず、肩の力を抜いていきましょうね。
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