パラリンアートの採用作品について検証。傾向や企業との向き合い方は

アーティスト写真
※写真は取材時にフォトグラファーの方が撮影されたもの。許可をいただき使用しています

こんにちは。フリーライターの林谷です。
…フリーライターなのですが、今日は僕のもう一つの顔『アーティスト』についてお話しさせてください。

パラリンアートとは?

主に障害を持つ方が、アートで経済的自立をするためのサポートを行う

僕は2018年11月から、『一般社団法人 障害者自立支援機構 パラリンアート』にて、アーティストとして作品を公開させていただいています(僕の作品ページはこちらです)。

このパラリンアートとは、障害を持つ方がアートでもって企業や団体のサポートをいただきながら経済的に自立できるようにしていこうという、社会貢献型事業のことです。どのような活動をしているか気になった方はぜひパラリンアートのホームページ「活動内容」をご覧ください。アーティストは公開している作品が企業の目に留まり、掲示作品やグッズなどとして採用されることで収入を得ることができます。

僕も企業から採用いただいた経験があります

さて、僕もパラリンアーティストとして活動させていただいて1年半近く経ちました。その間にパラリンアート事務局の取材をお受けするなど、本当にお世話になっております(取材ぺージはこちらです)。さらには、公開作品を採用してくださった企業も数社、数件ありました。企業の皆さま、誠にありがとうございます。この場を借りて改めて、御礼の気持ちをお伝えさせていただきます。

採用される作品には傾向や特徴がある

さて、僕は頻繁にラインナップを変えるタイプのアーティストですので、パラリンアート開始後、現在までにおよそ100作ほど作品を公開してきました(一度に公開できる作品数は20作まで)。

そのなかで採用をいただいた作品を検証してみると、採用されやすい作品の傾向や特徴があることに気づいたのです。今回はこの『傾向や特徴』についてお話ししていきたいと思います。

【パラリンアート】2020年6月までの採用作品

まずは現時点までに採用をいただいた作品を紹介させてください。ちなみに僕の作風は『デジタルアート』になります(今はアナログ作品を描いていません)。尚、プライバシーポリシーで記載している通り、紹介している作品の無断転載、無断転用は禁止です。

①『For Xs』

Takashi Hayasihitani 『For Xs』
Takashi Hayasihitani 『For Xs』

これで「フォーカス」と読みます。木陰から見えた工業地帯を僕なりに色彩アレンジした作品です。自然と人為的に作られた工業地帯がクロス=交差した風景ということで『Focus』を『For Xs』にしています。この作品はこれまでに2社の企業様から、継続契約含めて3件採用いただいています。

②『Coordinate Mt.FUJI』

作品『Coordinate Mt.FUJI』(コーディネイト・マウント・フジ)) Takashi Hayashitani 『Coordinate Mt.FUJI』
Takashi Hayashitani 『Coordinate Mt.FUJI』


富士山をモチーフにした絵
です。これまでにないような配色で富士山をコーディネイトしてあげようと思い、偶然取っていた写真をもとに描いたものです。この作品も同じく、2社の企業様から計3件の採用をいただいています。

③『Rainbow Cross Section』

Takashi Hayashitani 『Rainbow Cross Section』
Takashi Hayashitani 『Rainbow Cross Section』

虹の断面図」という造語をタイトルにした抽象画です。これは実は、昔パワーポイントで作った絵をリメイクしてアップしたものでした。

④『水流に浮かぶ一輪の貝殻』

Takashi Hayashitani 『水流に浮かぶ一輪の貝殻』
Takashi Hayashitani 『水流に浮かぶ一輪の貝殻』

この作品は描きながら形が貝殻のようになっていて、さらにそれが一輪の花のようになっていたことに自分で驚いたという作品です。

⑤『聖火の炎と五輪の舞』

Takashi Hayashitani 『聖火の炎と五輪の舞』
Takashi Hayashitani 『聖火の炎と五輪の舞』

この作品は僕の作品ページに掲載する前に、
パラリンアート世界大会2019 テーマ『舞』に応募した作品でした(2020年も開催されています。詳しくはこちらをご覧ください)。

【私見】パラリンアート採用作品の傾向と特徴

ではここで、採用作品の傾向と特徴を3つお話しします。先にお話ししておくと、あくまでこれは僕の私見ですので、参考程度に考えていただけますと幸いです。もし自分の作品に活かせそうなものがあったら取り入れてみようかな、くらいの感覚で聞いていてくださいね。

ポイント1:企業にとって用途が見えやすい

1つ目のポイントは『企業にとって用途が見えやすい』ことです。

僕はまだ経験がありませんが、アーティストさんの中にはグッズとして販売していたり、店舗や建物のデザインを担当されている方もいます。僕は主に『掲示作品』として企業様のオフィスに飾っていただく形式で採用いただいています。

これまでに採用をいただいた作品で感じるのはこの『企業にとって用途が見えやすい』ことでした。僕の作品で特に感じたのは①と②の時です。この2作は特にモチーフがしっかりしていて、『オフィスに飾ってみよう』という「用途」が見えやすかったのかなと感じているのです。

僕は作風的に、バッグやカードなどのグッズ化がしづらいものが多いので(抽象的、ぐちゃぐちゃで複雑なのが好きなんです…すみません)、主に掲示作品を『メイン用途』と考えて作品を作っています。

よって「自分の作品が商品になるイメージ」をしながら作品作りを考えることもあるのです。

ポイント2:淡い色合いが好まれやすい

2つ目のポイントは、『淡い色合いが好まれやすい』ことです。

これは僕の作品だけかもしれませんが、淡い作品が好まれやすい傾向があります。やはりフロアに飾るものなので、優しい色合いが好まれるのかもしれません。
Takashi Hayashitani 『虹、光、向かう力』
Takashi Hayashitani 『虹、光、向かう力』

ただ僕の場合、上の絵(パラリンアート2020応募作品)のようなビビッドな色合いの作品が圧倒的に多いです。その中にピンポイントで淡い色合いの作品があることで目につきやすかったという可能性もあるでしょう。

これは『これまで採用していただいた企業様のカラーと合うものだった』ということですから、もし先進的なオフィスもユニークなデザインの企業からは、ビビッドな作品も好んでくれるかもしれません。実は正直、ちょっとそれも期待していたりします。

ポイント3:作品にエピソードがあるものは相手にも伝わりやすい

3つ目のポイントは、『作品にエピソードがあるものは相手にも伝わりやすい』ことです。

正直僕は、どちらかというと頭に浮かんだイメージをそのまま描いて、特に作品に深い意味を込めるというケースは少ないです。しかし採用いただいた作品のうち①、②、③、⑤には作品を作るにあたってのエピソードがあります。それぞれのエピソードを下記にまとめました。

①『For Xs』

工業地帯の写真を撮りたくて、バスで近くの公園まで行き写真を撮って回ったら、暗くなりかけている森の陰から夕焼けがかかった工業地帯が見えた。帰り道で、この日大事な宅配便を受け取ることを忘れ大慌て。迷惑が掛かった分この作品は絶対良いものにしたいという気持ちで描いた。

②『Coordinate Mt.FUJI』

両親と妻とで母の実家に結婚の挨拶に行った帰り、たまたま寄ったサービスエリアから見えた富士山がきれいだった。

③『Rainbow Cross Section』

妻に『たまには淡い色のものを描け』指令が出た。もともとこの作品は詩集の出版を計画していた時に表紙案として作ったものであった(そのため妻のダメ出しが出たのであった。出版の計画は休止中)。

⑤『聖火の炎と五輪の舞』

パラリンアート世界大会に関する背景があった。2019年はこの作品のために全てを賭けたと言っても過言でないくらいのレベル。入賞のために十数件の神社にお参りに行ったほど。

…と、このように作品の裏に隠されたエピソードがあるものほど採用をいただいている傾向があります。客観的に見ると、作品から『物語』が見えるのでしょうか…

採用いただいた企業様との向き合い方

最後に、作品を採用していただいた企業様との向き合い方についてお話しします。

①手紙は手書きで書く

作品が採用されると、初かいに採用された作品は作品原本(僕の場合は印字したもの)も加え、企業様にお礼の手紙を書くことになっています。複数回採用された作品や継続して採用いただいた場合に関しても、同様に手紙をお送りします。手紙の内容はお礼はもちろん、作品に関する説明なども書いています。

正直手紙に関してはやろうと思えば、Wordで様式を作って企業名と作品名だけ変えて印字して出す…という方法も取れなくはないです(それが適しているかどうかは別ですが)。ただ、僕は敢えて『手書き』で手紙を書くことにしています。

これには理由があって、言葉だけでは感謝の気持ちを伝えきれないこともありますから、せめて一回一回の採用に関して手書きで書く『手間』もお礼のうちに含めたいと思っているのです。

②採用いただいた企業のホームページを見て、どのような事業なのか確認する

自分の作品がどんなところに飾られるのかな…という興味も含めて、採用いただいた企業がどんな事業をしているのか、ホームページから拝見させていただいています。

これは『作品の用途』を知る意味でも、今どんな企業が社会にあるのかを知る意味でも行っていることです。

③採用いただいた企業名と年月日を記録しておく

アーティストとしておよそ1年半が経ち、最初の年に採用いただいた作品を継続して飾ってくださる企業様もありました。有難うございます。その際に、やはり『今回も採用いただき、有難うございます』よりは『○○年○○月に引き続き採用いただき、有難うございます』の方が、より意識をしていることが伝わるのではと考えているのです。

④対応は迅速に

最後に、これらの送付を始めパラリンアート事務局へ送付するのですが、僕はできる限り来たその日に対応するようにしています。これはお世話になる事務局や企業に早めに届くことによって、ゆとりを持って仕事をしてもらいたいという思いからです。納期が遅れるのは仮にどんな障害特性があったとしてもビジネスでやっているのだから、言い訳はできない。これが僕の考えです。

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おわりに

いかがでしたか。

今回はライターではなく、アーティストとしてお話しさせていただきました。これからもいろんな形で表現していきたいと考えています。『僕が私がパラリンアートを盛り上げてやるんだ』という熱いアーティストがたくさん増えることを期待しています。

アーティストの皆さん、一緒に頑張りましょう。


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