【大人の発達障害】多様化社会に向けた個性を活かす『戦略』3つ


緑頭にした理由

こんにちは。
グリーンヘッドの林谷です。

発達障害『ASD(自閉症スペクトラム)』を持つ当事者です。今日は上の画像の通り、『なぜ、髪の毛を緑色にしたのか』をお話しします。もちろん、そこも関係している話で、髪型オンパレードではないのでご安心ください。

タイトルを見た方は『そんな話は必要ないだろう?』『それが個性とどう関係あるの?』と感じるかもしれません。しかしこの『緑頭』こそが、今回のテーマと強く結びついている要素の一つになるのです。

大人の発達障害は『個性』と言われるが…

発達障害も含め、障害全体が『個性』であるという声が高まってきています。しかし当事者の中で、『自分は個性派人間だ!よっしゃ!』となる人がどれくらいいるでしょうか。どちらかと言えば、現状の仕事や日常生活が上手くいかなくて、『きれいごとだよね…』『理解されないよね…』と悩んでいる方の方が多いかもしれません。

そもそも、『個性』は障害の有無問わず、誰にでもあるものです。いないとは思いますが、『一切特徴のない平坦人間』がいたとしたら、『全く特徴がない』という個性といえるように。

それでもなぜ障害、特に発達障害を『個性』と叫ぶのか…は、やはり『良さや価値を分かってもらえないから』だと思います。誰よりもできることがあって、それで頑張れたとしても、周囲からは『○○もできない人』というイメージのほうが勝ってしまいやすいです。

悲しいですよね。


『弱みを強みでカバーする』を受け入れてもらえない

僕は過去に民間企業で、障害者雇用として勤務していました。そこではサポートをお願いしていたことが、『苦手な電話応対を他の方にお願いする』ことでした。そうして迷惑をかけているわけですから、その分自分のできることで周囲の負担を減らしたい。そう考えて自分のできることを目いっぱい頑張りました。一定の結果も出ました。

にもかかわらず、イメージは変わりませんでした。むしろ『電話が取れないくせに偉そうだ』と見られてしまいました。僕のイメージが良くなったのは、無理して電話に出るようになったときでした。

100の強みよりも1の苦手克服。これは正直、悲しかったです。この『できないものがありながら、良い部分を頑張る』という凹凸の取り組み方自体、受け入れられていないのかなと考えていました。

このような『偉そうだ』となりやすい理由として、経験上発達障害の得手不得手の傾向は、障害を持たないいわゆる『健常者』には理解しにくい基準であるからと思っています。

例えば、

◆エクセルができないのに、プログラミングができる

◆オートバイの運転は得意なのに、自転車に乗れない

◆因数分解が得意なのに、分数の掛け算ができない

などです。

ここで僕が言いたいのは、多くの人が『本来は学ぶ順番、身につく順序が違うでしょ』のようなスキルの身につけ方を、発達障害を持つ方はしていたりします。分かりやすく言うと、『ルパン三世』の登場人物、石川五右衛門の『斬鉄剣』みたいな感じです(鉄でもなんでも斬れるが、こんにゃくが切れない)。

かつての考え方で具体的に言えば、

◇表計算ソフトのエクセルより、プログラミングの方が難しい『はずだ

◇オートバイが乗れるなら、自転車にも乗れる『はずだ

◇難しい因数分解ができるなら、分数の掛け算もできる『はずだ

このようにいつの間にかスキルに順列を付けていて、多くのケースでは自身ができることを低く捉え、そうでないことを高く捉える傾向が多いように感じています。

そのためできないことをできることで埋めようとすると、『それをやる前にこっちをやれよ』という目で見られがちです。僕もそうでした。

発達障害の個性をどう活かすか、対策を考えた

この職場で価値観のすれ違いは最後までありました。そうして生きづらさ、自分のいる意味を感じなくなったことから、退職を決意しました。この後僕は『自分の活かし方を考えなくては』と考え直す機会があったのです。そうして迷い、試しながら考えていった結果、『3つ』の対策にトライして行こうと決めました。


【大人の発達障害】多様化社会に向けた個性を活かす『戦略』3つ

①発達障害を持たない方よりも、活きる環境にこだわる

1つ目は、
発達障害を持たない方よりも、活きる環境にこだわる
ことです。

人それぞれではありますが、『傾向』として、発達障害を持つ人は得手不得手にムラがあることが多いです。僕自身、環境によっては『全く使えないもの』になるときがありました。

このリスクをクリアするために僕が考えていることは、
活きる環境にこだわる
ことでした。

他の人(障害を持たない人)は『選んだあと、どう頑張るか』でも勝負できるかもしれません。努力で何とかできる可能性も比較的高いでしょう。しかし僕の場合は、その可能性は低いと考えています。

ですから働く場所、活きる場所を『選ぶ』ところにフォーカスしていかなくては…と考えているのです。

真剣に取り組んでいても、違和感がない環境、働き方。先をイメージすることが楽しみになる働き方。少なくとも僕には、そういう環境を選んでいかないといけないな…と感じているのです。そうして選んだ手段が、

◇文章を書く仕事

◇絵など、アートに関わる仕事

今意識している環境は、この2つです。少なくとも『自分を表現する』この2つに関しては違和感なく、自然体で臨みやすい働き方に感じています。

②『誰にでも分かりやすい個性』を表現する方法を決める

2つ目は
「誰にでも分かりやすい個性」を表現する方法を決める
です。

これが、『緑頭』の理由です。

個性は誰にでもある、と冒頭で言いました。ですけど『個性派』と呼ばれる人たちとそうでない人たちがいるわけです。この両者を比較して『何が違うんだろう?』と考えてみたんです。その答えが『明確で分かりやすい個性』でした。

良く芸能人でも、名前が出てこないけど何となく顔が浮かぶ…そんなこと、ありませんか?『○○のCMの人』『あのドラマの歌を歌ってた人』などのように。先日大活躍したラグビー日本代表の『笑わない人』などもそうです。

そういった『代名詞』にもなるような、名前を覚えてもらえなくてもイメージしてもらえる要因って、この『明確で分かりやすい個性』だと思うんです。表現をする、発信していきたい僕にとって、この個性は大切なのではと考えました。

…ということで、自分が思いついた個性の表現方法が『緑頭』でした。もともとこだわるくらい緑が好きだったので、そうしました。僕の名前を覚えてもらえなくても『なんかあの…緑の人』『緑頭の人!』そんな感じで覚えてもらいやすい個性を意識するようにしています。


③継続して体験してきたことのスキルを高めていく

3つ目は
継続して体験してきたことのスキルを高めていく
ことです。

僕の場合「絵」や「文章」になるわけですが、小さなころからやっていたことや長く続けてきていることって、取り組むことでの自分への負担も少ないです。かつ、闇雲にトライするより得るものが大きい可能性が高いと思っています。

少ない燃費で多くを得る。ここに一番活躍できる可能性があると考えていますし、その『個性』に『ニーズ』が生まれる可能性もまた、高まるのではと考えているのです。

僕は、かつてからよく言ってきた言葉があります。

あるものは使え

これからもこの精神で、自分に備わっているものを最大限に活かす取り組みをしていきたいと考えています。

おわりに

いかがでしたか。

この活かし方は、仮に発達障害を持つ方であってもぴったり当てはまる方は少ないかもしれません。ただここで一番伝えたいのは、『我慢して苦手克服ばかりに気を向けていたら勿体ないよ。せっかく「目につきやすい」個性であれば、活かさない手はないよ』これです。

スキルのできる・できないの基準は本来、個々の中にあると思うんです。エンジンがかかるバイクは乗れるけどかからない自転車は乗れない、『あり』でしょう。パズルみたいに謎解き感がある因数分解は楽しいからできるけど、分母分子の仕組みがすぐに理解できない計算は苦手かも…『あり』でしょう。

『これができるなら、これもできるはずだ』の考え方は、今では価値観の押し付けにもなり得ます。そろそろそうやって、『カテゴリ単位』で人を見ることを止める時期が来ているのではないでしょうか。これは当事者も含め、僕も含め、どんな方にも降りかかってくる課題だと思います。多様化によって、より『個人単位』で人と向き合わないといけなくなってくると感じているのです。

今日話した言葉がさらに説得力を持つ、信頼できる言葉とできるように、今日もまた創意工夫、これの繰り返しをしていきます。


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