【発達障害体験談】仕事の優先順位付けが苦手…行った対策は?


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発達障害×障害者雇用×仕事術についてのお話です

こんにちは。フリーライターの林谷です。今日は発達障害の一つ「ASD(自閉症スペクトラム)」を持つ僕が障害者雇用の事務職として勤務した時代に行った、「仕事術」についてお話ししたいと思います。

(※この記事は僕の過去ブログ『Self Innovation』の中から複数の記事をまとめ、現在の見解も含めて分かりやすくリメイクしたものになります。)

発達障害を持つ人は『優先順位をつけるのが苦手』なケースが多い

何を優先にしたらいいのか、どこに力を向ければいいのか分からなくなる

発達障害を持つ人は、仕事などで「優先順位をつけて行うことが苦手」であるケースが多いのではないでしょうか。『同僚から“これ、急いでね”と頼まれた』『でも、課長からお願いもされた…どっちを取ればいいの!』と判断が難しいことや、そもそも作業自体どう進めていけば効率よくできるかが(沢山あり過ぎて)見当つかない、というケースもあるでしょう。

うつ病から復帰後、仕事の整理に迷った

僕もうつ病から復帰して就職したときには、自分がしっかり仕事ができるのかの自信はありませんでした。その影響からか、物事の優先順位をどうやってつければよいのか見えなかった時期があります。

今回はそんな時に自分で少しずつ身につけていった『仕事での優先順位の付け方』を紹介していきたいと思います。あくまでも一例のため全てに当てはまるわけではありませんが、参考として自身が持つ状況と照らし合わせて考えてもらえると幸いです。

【体験談】発達障害を持つ僕が仕事で行った優先順位の付け方

まず前提として僕がどんな仕事をしていたかを説明しておきます。業務内容はこんな感じです。

①職場の敷地外の他部署に内部書類などを送る・または反対に受ける

②届いた書類をチェックし、書類内容に基づいて個人データの見直しを行う

メインとなる仕事はこの2つです。これを前提に以降の方法を見てもらえると分かりやすいと思います。

優先順位ポイント1:関わる範囲の広さで決める

1つ目のポイントは『関わる範囲の広さで決める』ことです。「距離の長さ」とも取れるかもしれません。例えば、

○職場の敷地外にある他部署

○同じ敷地内、別フロアにある他部署

○同じフロアにある、他の課や係

○同じフロア、同じ係の範囲内

○自分一人の問題

この5種類の仕事があるとします。その時に僕は『範囲の広さ(距離の遠さ)で決める』ことを試しました。結果はこんな感じです。

【優先順位:範囲の広さ順】

職場の敷地外にある他部署

同じ敷地内、別フロアにある他部署

同じフロアにある、他の課や係

同じフロア、同じ係の範囲内

自分一人の問題

これには理由があります。①の「職場の敷地外にある他部署」に関わる仕事は社内便が関わることが多いです。この社内便は一日の間に届けられる時間帯が決まっていることや、そもそも離れているので相手に届くまでのタイムラグも考えて送らないといけません。ですから少しでも早く対応することで、その後の影響が何倍にも変化してくる可能性もあるのです。

次に②「同じ敷地内、別フロアにある他部署」について。同じオフィスビルではあるものの、フロアの外であるがゆえに説明を加えたり、必要な準備も増えることが多かったです。そのためそうした『準備に時間がかかる』という点で2番目に考えるようにしていました。

その後③、④と優先順位が下がるにつれて、少しずつ自分を囲む範囲が狭くなっているのが分かりますでしょうか。最後に「自分一人で済む問題」を置くことで、空き時間をうまくこの⑤に利用できるようになりました。結果無駄なく、時間を有効利用できることにもつながったのです。

優先順位ポイント2:作業にかかる労力や時間の度合いで決める

ポイント2つ目は『作業にかかる労力や時間の度合いで決める』ことです。さすがに範囲の広さだけでは仕事の重要さは測り切れないでしょう。ですので僕はポイント1の「範囲」を軸として、このかかる労力でもって調整した、という感じです。

例えば先ほど決めたこちら、

職場の敷地外にある他部署

同じ敷地内、別フロアにある他部署

同じフロアにある、他の課や係

同じフロア、同じ係の範囲内

自分一人の問題

この順番がありますよね。これをさらにどんな業務内容かを加えていきましょう。

①職場の敷地外にある他部署
→内部書類の様式を送付する。社内便の事情を踏まえる必要がある

②同じ敷地内、別フロアにある他部署
→調査もの。データの確認などで2時間以上かかる

③同じフロアにある、他の課や係
→問い合わせに対して返答。簡単に応えられるもので、5分以内で可能

④同じフロア、同じ係の範囲内
→社内回覧の閲覧5分程度で見終わる。その後次の人へ回す必要がある

⑤自分一人の問題
→担当業務でひたすらエクセルに入力(急ぎではない

…と加えてみました。こうなると、少し順番を変える必要が出てきます。

僕の場合ではありますが、『すぐに終わるもの』を優先にしていました。時間のかかるものほど優先して行いがちですが、その間に『やらなきゃいけないこと』を意識しながらずっと作業をすることは負担になると考えているからです。

よって今回の場合作業の優先順位はこう変わりました。

①職場の敷地外にある他部署
→内部書類の様式を送付する
→社内便の時間制限があるため、最優先
→①のまま

②同じ敷地内、別フロアにある他部署
→調査もの。データの確認などで2時間以上かかる
→時間がかかる作業の為、他の作業が終わってから取り掛かる
→④に変更

③同じフロアにある、他の課や係
→問い合わせに対して返答。簡単に応えられるもので、5分以内で可能。回答することでその部署の業務が回る
→すぐに済ませておく
→②に変更

④同じフロア、同じ係の範囲内
→社内回覧の閲覧
すぐに終わるもの次も控えているため、早めに見て回しておく
→③に変更

⑤自分一人の問題
→担当業務でひたすらエクセルに入力(急ぎではない)
→⑤のまま

これにより順番は

①職場の敷地外にある他部署

②同じフロアにある、他の課や係

③同じフロア、同じ係の範囲内

④同じ敷地内、別フロアにある他部署

⑤自分一人の問題

このように変更になりました。こうすることで、一度に意識する項目を少しでも減らす工夫をしていきました。項目が少なければ、優先順位を決めやすくなりますからね。

この2つのポイントを簡単にまとめると『自分の力ではどうにもできないもの(時間制限や関わる人の数)が多いものほど先に行っている』形です。黙っていると逃げてしまう仕事なのか、逃げないものか。その判断をしながら工夫してきました。

補足1:頼まれた仕事は一度今行っている作業を止めて検討する

補足事項として、『人に頼まれたとき、すぐに”返答は”する』ようにしています。これはどういうことかというと、いくら上の優先順位であと回しになりそうなことでも、受けた時点で放置するようでは相手が『大切にしてくれないのかな』と思ってしまう可能性もありますよね。

ですから仮に受けた時点で『これは後になりそうだな』と思っても一度は『順番をどうしようか』考えることにしています。そうすることが相手への礼儀だと感じているからです。

補足2:期限を聞けたら必ず聞く

もう一つ補足事項として、『期限を聞けたら必ず聞く』ようにしています。自分だけで決めた作業の順位が適しているかどうかは分かりません。ですから期限を聞くことでより周囲の事情に適した優先順位をつけやすくなります。



僕の仕事の場合、このような方法で優先順位をつけてきました。顧客と直接関わる仕事をしていなかったこともあり、これがお客さんの関わる仕事となると、また順番が前後することもあるのかなと考えています。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

優先順位って、面倒くさいですよね。頭の中をそのたび整理しないとといけない。これを毎回考えるのも心身に負担がかかってしまいます。ですからこんかいお伝えしたような何らかの「法則」を自分で組み立てていくことで、少しずつその負担も減るのではないかなと思って今回、提案させていただきました。

ぜひ、自分の仕事に当てはめて考えてみて下さい。


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