【就労移行支援体験談】利用のメリット~スキル上達度を数値で紹介!

発達障害アイコン

こんにちは。フリーライターの林谷です。

今日は『就労移行支援事業所』についてお話しします。


就労移行支援事業所とは?

就労移行支援事業所とは、


就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、

①生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練

②求職活動に関する支援

③その適性に応じた職場の開拓

④就職後における職場への定着のため

に必要な相談等の支援を行う。 

参照:障害者の就労支援について - 厚生労働省

このような障害福祉サービスになります。

分かりやすく説明すると、『障害や難病を持つ方が働く為のスキルアップ・必要な情報を得ることができる施設』です。利用期間は原則2年と決まっていて、通うには区役所など市区町村へ申請することが必要になります。

全国各地にいろんな事業所があり、学べる項目や雰囲気などにも特徴があります。そのため『移行支援ならどこでも同じ』ではなく、自身で希望に沿った事業所を探すことが大切です。

就労移行支援事業所利用のメリットは「ある」

そこで今回は、実際に僕が1年事業所に通った時のことをお話ししたいと思います。内容は主に『どんな項目を学んだか』についてです。ぜひ『移行支援利用しようか迷っている…』『就職活動どうしたらいいかな…』と悩んでいたら、参考の一つとして覚えていただけますと幸いです。

働く目的が定まらない、自分にいまいちが自信がないという状況でも、スキルを磨く中で沢山の『気づき』を得られました。そういう意味でも僕には利用のメリットがありました。

参考:障害者の就労支援対策の状況 厚生労働省


【体験談】就労移行支援事業所で学んだ項目

さて、僕が実際に学んだ順に学習項目を紹介していきます。どれだけ上達したか最低1最高10の10段階で表します。

なおここでの数値は客観的なレベルではなく、『自分はこのスキルで働けると思える自信度』を表すものとします。簡単に僕の基礎情報を紹介したうえで、項目を見ていきましょう。

【林谷の基礎情報】

◆利用の動機・目的:就職に関する情報が欲しい。IllustratorとPhotoshopを学びたい。

◆希望の就職先:デザイン・アート系、かつ在宅勤務の仕事

◆障害の種別: ASD(自閉症スペクトラム)

◆学習方法:動画に沿って学習していく。他の利用者とのコミュニケーションは原則、なし。

◆利用期間:1年間(きっちりです)


①illustrator(イラストレーター):期間 2カ月程度

Illustratorはアドビ社が開発している描画作成ソフトです。今様々な場面で活躍しているイラストレーターの方が使用しているケースもあるツールになります。

上の通り、もともとこのツールを使いたくて事業所に通うことを決めています。学んだことは基礎的な描画作成から、ポスターイメージやロゴデザインの作成、ポートフォリオの制作なども行いました。

感覚的には『点』でなく『線』を軸とした描画方法に苦戦した感はありますが、おおむね基本的な項目を学べだことで、ある程度は(現場でも)できるかな…くらいの達成感はありました。3D画像の操作までは怖くてできませんでした。

(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

   0(未経験)→

感覚としては、『すぐには仕事に使えるという感覚には足りないけれど、その職場でノウハウや流れを掴む中でクリアできるかな』くらいです。


参考:Adobe Illustratorの購入 | ベクターグラフィックデザインソフトウェア


②デザイナーの基礎知識:期間 1週間程度

デザイナーになる際に必要な基礎知識について学びました。これはファッションデザイナーやロゴのデザイナーなど、デザインに関わる仕事の定義や目的などがまとめられていました。

色の仕組み(RGB形式とCMYK形式など)や主な用途、印刷用紙の仕組みなど実際にデザイナーの仕事をする上での流れなども学ぶことができました。

(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

 0(未経験)→

僕はこの利用期間中に『色彩検定2級』を取得したのですが、その学習項目に関わる部分がありました。ただ、それは事業所の訓練項目ではなく僕の希望で勉強していたことなので、『デザイン業界の基本が学べた』と言う点のみで3点にしました。検定を込めると『5』くらいになります。


参考:色彩検定とは|色彩検定協会/カラーコーディネーター
 

③Photoshop(フォトショップ):期間 5カ月程度

Photoshopもillustrator同様、アドビ社が開発している画像編集ツールです。Illustratorと異なるのは、Photoshopは0から作るツールと言うよりは、写真やイラストなど、現時点『あるものを加工する』ことがメインという印象です。この2つのソフトのスキルを磨くことで、デザインやアート、イラストの仕事への道を開こうと計画していました。

(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

 0(未経験)→(卒業後個人的に「9」までUP)

事業所では色調補正から画像の入れ替え、選択操作からレイヤーの設定まで学べました。こちらも最後にはポートフォリオを作っています。その後も卒業間近まで取り組んでいました。その後今でも個人的に購入し、作品を作るまでにスキルアップしています。

 
参考:Adobe Photoshopの購入 | 最高の写真、画像、デザイン編集ソフト
 

④Excel(エクセル):期間 1週間程度

Excelはマイクロソフト社の表計算ソフトです。過去勤めた職場でも使用しており、ここでは業務感覚を鈍らせないために、操作確認をする程度に学びました。資格として、MOSを持っていることもあり、初級から中級を飛ばし上級のみ学んだこともそれが理由です。

資格試験などで『学習』として学ぶもの『仕事で使う』ものとでは『複数の機能を組み合わせて使用する』という点で異なるため、主に後者を学びました。

良かったのは『データの入力規則』と、曜日など入力内容でセルの配色を変えられる操作の確認ができた事。これが大きかったです。

(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

  7  →  

⑤Word(ワード)+ライティング:期間 3日程度

同じくマイクロソフト社の文書作成ソフト『Word』です。利用前の時点でライティングの経験はありましたが、こちらを利用して改めてライティングのスキルについて復習しました。文章構成のコツから校閲方法について具体的な知識についても学べることがありました。Wordに関しては文書入力のみで、参考文献など高度な部分までは行いませんでした。

(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

     →  

⑥タイピング(e-タイピング):期間 他の項目の合間に行う形で6カ月程度

e-タイピング』というタイピング練習のサイトで、項目学習の合間や就活で相手待ちなどの際などにこまめに練習するようにしていました。その中で『腕試しチェック』という簡単な文章を入力することでポイントが加算され、合計ポイントによってランクが決まるものにはまりました。

気になる方はこちらのサイトにアクセスして、トライしてみてください(要無料の会員登録)。

僕は、初めはランク『B+』くらいでしたが、1,000回以上練習し最終的にはレベル『Thunder』まで行きました。これを活かして、『イータイピングマスター3級』の資格も取得しています。

e-typing 腕試しカルテ
僕のe-typing 腕試しカルテ


(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

    →  

何よりもその後の仕事でチャットや記事作成の際の入力が早くなったので、最も後に活きた学習項目かもしれません。


⑦HTML/CSS:期間 2カ月

HTML・CSSマークアップ言語で、ホームページなどを作る際に使われる言語です。それまでほぼ未経験でしたが、Webデザインもスキルとして身につけておこうと思い学ぶことにしました。

ただ動画の内容を見て書きこんでいるだけではつまらないし、覚えられないので、事業所のスタッフの方にわがままを言ってレンタルサーバーの存在を教えてもらい、『実際に自分でホームページを作る過程』として学ぶことにしました。

個人的には骨組みとなるHTMLと色合いや形など装飾を施すCSSとの連携作業が苦手で、よくページが固まったものです。僕も良く固まりました(笑)このときは頭の疲労が激しくて、家に帰ったら爆睡してました。その甲斐あってか、最終的に学んだ項目をクリアしたホームページを作ることができました。

(上達度を数値で表すと…)

【受講前】 【受講後】

 (未経験)→

ホームページは作れましたが、こういった構文に対する『なんか難しいな…』のような抵抗は取れたかな…くらいの感覚です。そのため『0から作れ』と言われると不安があるので『5』としました。エンジニアやWebデザイナーをトライしたい…までは行かなかったかな。

ただし一部付け加えるなど、アレンジ程度は可能です。このブログでも僕の方で構文を打ってアレンジしている部分があります(見出しのデザインなどは、CSSを使って設定しています)。

⑧その他

その他プログラミング言語であるJavaScriptPHP、WordPressを簡単に学びました。このころは就職活動メインで行っていたため、動画の内容を流す程度にとどめていました。

スキル習得以外で感じた利用のメリット

①一人では得られない情報を得られる

事業所に通った中で、働き方に関する様々な情報を得ることができました。求人票も自分では見つけられないような仕事をスタッフとハローワークの方が連携して抽出してくれたり、その他障害者就労支援事業とも連携していて、現在の就職市場を確認してみたりもできたのです。

ここで僕はイラスト・デザインの仕事は『未経験者はチャンスが少ない』ことを知りました(当時の自身の環境下で)。代わりに在宅勤務の様々なチャンスを得るなど、『現状に合わせてチャンスを選ぶこと』ができたのが大きいです。

②パラリンアートとの出会い

僕はいまこうしてライターとして書き仕事をしながら、障害者アーティストとしても活動しています(作品ページはこちら)。その案内をしてくれたのも、この事業所です。

③自分自身のスキルや性格を客観視してもらえる

利用期間中、毎月スタッフの方と面談がありました。

そこで『自分の強みはない』と半年間言い続けてきました。そんななかでも様々な方法で僕に『気づき』をくださいました。

自分ではできるのかどうか分からない部分も第三者に見てもらえることで、それで働くことができるのかどうか判断する材料の一つとなったのです。

おわりに

今回は、『学習項目』に焦点を当てて紹介しました。

1年間お世話になりました『就労移行支援事業所manaby』様、有難うございました。結果的に支援を受けて就職した先は1年ほどで退社してしまう形(スキルなどとは別の理由)になり、申し訳ない気持ちもあります。しかし得たスキルや自信は今も残る『本物』です。

ですから『あるものは使え』精神で、得たスキルを活かしてあらゆる形に昇華させるよう努力を続けたいと思います。



【セットで読むと良いかも】

コメント