『ASDは空気読めない』良く耳にします。僕も言われたことあります
こんにちは。フリーライターの林谷です。
ASD(自閉症スペクトラム)とHSPの両方を持っています。
今日はASDを持つ方であれば1度は言われたことがあるかもしれません。『空気読めない』の『空気』がテーマです。
僕が高校のころくらい(1990年代後半)だったかな。『KY(空気読めない)』と言う言葉がえらく流行りました。ちょっと周りとずれたことをするとすぐに『お前それKYだな』なんてよく言われていましたね。これは少し流行りの影響もあって過剰に使われていたと思うんですけど、『空気を読む』というワードが出始めたのはこのころくらいからだと思います(その行為自体は昔からあったと思いますが)。
僕は『思慮深い傾向にある』HSPを持ちながらも、それでも『空気読めない』と言われたことはあります。色々考えて先読みし過ぎて結局空回りしてしまう。ある意味『KY(空気読み過ぎ)』な行動によって結果空気が読めていない行動をしてしまうこともありました。こちらの記事で言いましたけど、合コンでACミランのユニフォームをガチで着てドン引きされたり…そんな『良かれ』がよくずれます。
友人に言われた『林谷、お前の努力はいつも、残念だ。』の言葉。今でも心に残っています。得意のフラッシュバックってやつも来ます。
ごめんなさい。僕の努力、いつも無駄遣いです。
そもそも、『(読む)空気』とは何よ?
おそらく空気が読める人、と言うのはその正体が何かということを意識せず、自然と受け入れ、行動しているのでしょう。ただ、空気を読むことが苦手な僕は、『じゃあ空気ってなんだ?』って考えるわけです。また、その正体がどんなものか分かれば読める空気もあるかもしれない。そう思って、『読む空気』とは何か考えてみました。
読む空気とは?
とりあえずまず、調査をした結果…
まずは『読む空気』とは何だい!?とネットで調べてみました。『Weblio辞書』では、『空気を読むこと』に関して
その場の雰囲気を察すること、暗黙のうちに要求されていることを把握して履行すること、などを意味する表現。
このように表現しています。同じく『goo辞書』では、
その場の雰囲気から状況を推察する。特に、その場で自分が何をすべきか、すべきでないかや、相手のして欲しいこと、して欲しくないことを憶測して判断する。
このように書かれていました。この意味を見てみると『暗黙のルール=明文化されていないことを読み取る』や『憶測して判断=非言語コミュニケーションを読み取る』ということかなと解釈しました。
…ただ、これだけでは僕も、納得いきませんよ。今読んでくれている方の中にも『具体的には何だよ!』『はっきり”これ”と言って!』と思っている方もいるかもしれません。そこでこの内容をもとに僕のこれまでの
◇職場(3か所。詳しくはこちら)
◇私生活(友人関係など)
◇精神科デイケアや就労移行支援事業所など
これらの環境で関わった経験をもとに、『読む空気の正体』について考えてみました。その結果浮かんできた候補が『3つ』挙がりました。あなたが思う『空気』とぜひ、照らし合わせてみてください。
【私見】『読む空気』3つの正体
①前後関係
まず1つ目は『前後関係』です。僕以外にも職場やデイケアで、ASDを持つ方を見かけたことがあります。このような方でその場で見たものだけで判断して、後の行動が大きく回りとずれてしまうということがありました。今回は分かりやすく、見てきた事実をもとに想定例を作ってみました。
例(事実に基づいた想定のシチュエーションです)
今まさにそこで女性社員が男性社員に怒られて、泣いています。
ただ実はこの女性社員には怒られるのには理由がありました。それは社内の後輩社員に嫌がらせしたのが見つかって怒られている『前』があったのです。
周りはその『前』を知っているか、何となくでも事情は読み取って何も言わない。でもASDを持ちこの『前関係』が見えていない場合、『女性社員がいじめられてる!』と感じてかばってしまう…後、周囲から事情を聞かされて初めてハッとする…
このように、目の前に『見えていること』だけが全て、と感じて行動した結果『空気が読めていない』行動に出てしまったことはありませんか。
②根回しされている情報
2つ目は『根回しされている情報』です。よくうちの妻も『コミュニケーションは根回し、ネゴシエ(ーション)だ』と言います(ネゴシエーション=交渉)。そういった事前に水面下でやり取りを進めておき、表面化するようなときにはあくまでも形式的なやり取りだけ…ということもあるようです。
これが本当に良く行われているとしたら、おそらく僕は表面化されているところしか見えないと思います。そんな一部の情報のみで判断するのって、恐ろしいと感じました。
③共通認識
3つ目は『共通認識』です。これには色々種類があって
◇多くの人たちが行ってきたであろう、考えてきたであろうこと(本人がそう思っているだけのものも含む)
◇社内に長くいると分かる風潮や特徴
◇本人が当然のごとく出来ること。これを常識と勘違いしている場合
ざっくり挙げると、こんな感じだと思います(もっとあるとは思いますが)。ほとんどが公式に知る機会がない「裏情報」なことが多いかもしれません。ただ見てもらうと分かるように、『読む空気の対象』が正しくないこともあるのです。
上で言えば『本人がそう思っているだけのもの』を押し付けられても困りますし、自分だけが当たり前にできることを強要されても、辛いものです。でもこういった空気を読ませる人が社内で権力あったりするから厄介です。ただ僕はこういった『同調圧力』は大嫌いなので、本当に自分が納得しなかったら合わせない頑固者でした。そのためよく嫌がらせもされました。
少し脱線しました。例えばASDを持つ方は、僕もそうですけど『多くの人たちが行ってきたであろう、考えてきたであろうこと』に興味が沸かなかったりすることがあります。だからそれを当たり前のように出されても理解ができない。
社内に長くいないと分からないようなことを、新人のうちに押し付けられても困るわけです。でも、こういう空気、よくありますよね。特に障害者雇用で入社すると、つい周りが遠慮して言われないことで問題になっていたりするので、『そういう遠慮知らないし』とイラついたこともありました。
このような『みんな知っていて当たり前だから、敢えて説明しないこと=共通認識』が分からず、僕も苦しむことがありました。
空気って、読めた方がいいの?
実際、『空気』って読めた方がいいのでしょうか。僕はこれについて、以下のように考えています。
①全部読む必要はない
まず、上のように理不尽な理由で読ませる空気もありますから、必ずしも全部読むべきものではないと思います。
②基本、言動を抑える空気は必要なことが多い
例えば何となく言ってしまったことで相手を傷つけてしまったり、『今そこでそれ言う!?』と言われる場面で発言してしまったり…僕の経験上、『言わないといけない空気で言えなかった』ことより『言ってはいけない空気で言ってしまった』ことで失敗することの方が多い気がするんです。ですから言動を抑える空気を読むことは必要だと思っています。
③空気を読む場面をスルーするスキルが必要
ASDを持つ人って、これも僕もなんですけど、何でも正面衝突しようとするときがあります。何かフェアじゃないことが嫌いと言うか、そんなこだわりから敢えて空気を読む場面に多く出くわしている気がしています。もちろん、明確なものを頼りに行動するので、どうしても直面しやすいのですが。
もちろん、正々堂々行動することは大切です。でも、特に必要のない場面にまで首を突っ込むのではなく、スルーすることで空気を読む回数自体を減らすことはできるのではないでしょうか。
④具体的な対処は5つ
僕が考えている具体的な対処は5つです。
対処1:『その”良かれ”、相手にも良いこと?』と行動前に問いかける
対処2:普段から周囲の人がどんなことに興味を持っていて、どんな話をしているか関心を持つ(見るだけでも違うと思います)
対処3:特に複数人いる場面の会話は、『求められたら話す』スタイルを取る(1対1よりずれやすいため)
対処4:周囲とのチームプレイの場面では、『先回りしよう』『何か特別なことをしよう』と思わない。気を利かせるのは共通の目的を知ってから。
対処5:自分と同じように、何でもはっきりさせたい人ばかりではないと意識する
対処2:普段から周囲の人がどんなことに興味を持っていて、どんな話をしているか関心を持つ(見るだけでも違うと思います)
対処3:特に複数人いる場面の会話は、『求められたら話す』スタイルを取る(1対1よりずれやすいため)
対処4:周囲とのチームプレイの場面では、『先回りしよう』『何か特別なことをしよう』と思わない。気を利かせるのは共通の目的を知ってから。
対処5:自分と同じように、何でもはっきりさせたい人ばかりではないと意識する
この5つです。これを守っているだけで、全部読めているわけではありませんが『大きく的が外れる』ということは少なくなりました。
おわりに
いかがでしたか。
空気読むなんてできない。全部教えてほしい。そう思ったことがあるかもしれません。僕もありました。
ただ、考えてもみてください。漫才でボケ側が『今突っ込んでください』って頭を出していたらどう思いますか?しらけますよね。会話の中でも空気を読まないことで、そうした『しらけ感』を与えてしまうこともあるのです。
でも正直、完璧に空気を読めている人がいたら、それは超能力者です。よほど信頼しあっていて、相手の情報を知りつくさない限り、多少の「ずれ」はあると思います。大事なのは、相手が傷つくような場面での『ずれ』を減らすことです。
『読む空気』は、今日お話ししたものだけではないと思います。ただこうして具体化させることで、対処できるものも出てくるかもしれません。ぜひ、あなたの周りの『読む空気』がどんなものか、どんな形なのか、一度イメージしてみませんか。
【セットで読むと良いかも】
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