発達障害とコミュニケーションについてのお話です
こんにちは。フリーライターの林谷です。今日は僕も持っている『発達障害』と『コミュニケーション』についてお話しします。
会話の聞き取りが苦手で苦労したことがある
聴覚的な情報を理解しにくいことで困ったことがある
僕は比較的視覚的な情報を得る分には得意なのですが、耳から聞いた情報を理解することが苦手です。それと同じ原理で、自分の意志を(聴覚的な)言葉にして会話をすることも苦手なことで困ることがありました。
一生懸命言ったのに上司に首を傾げられたりすると、ここでは話せないくらい煮えたぎる感情が沸いたものです。さらにはそうして『上手く話せない自分』をひどく恨んではまた自信を無くす…その繰り返しでした。
口頭会話は、話したいことの調整や順序立てが面倒くさい
僕自身、障害者雇用の事務職としておよそ4年間勤務してきました。やはり就職したてのときは聞き取りが苦手でしたから、文面でのやり取りをメインにしてくれていたんです。
やっぱり口頭でのコミュニケーションって、こんな嫌な点を感じるんです。
◆口頭での会話は、話す順番を意識する必要がある
※文面でのやり取りは、伝える(送信)前に見直し・やり直しもできるが、口頭会話ではそれができない
◆口頭での会話は、自分のタイミングで伝えることができない
◆口頭での会話は、相手の話を聞きながら進めるので、自分の考えていた『台本』が無駄になってフリーズしてしまう
こういう面倒臭さを感じていて、つい文面でのやり方を望んでしまいます。やっぱり一番は『言いたいことをその時に全部言えない(言いきれるまで不安になる)』『相手の様子をうかがいながら言う分量を調整しないといけない』ところが辛いところです。
例えばメールなら、1から10まで全部書き込むこともOKです。でも口頭会話でそれをやろうとすると長くなってしまったり、相手を置き去りにしてしまったりしてしまいますよね。だから10言いたいことがあってもはじめは2くらい話して、相手の2を聞き出したらまた2話して…っていうバランスを考えながらやらないといけません。
この「バランス」「調整」が、面倒くさいんですよね。常時120パーセント出すことより、70パーセントに抑えるその30パーセント調整に200パーセント分の労力を使っている…というと分かりづらいですかね。要は全力を出すより、調整をする方が疲れるということです。
職場で文面だけのやり取りを望んでも…なかなか現実的には難しい
ただ、実際に職場で文面だけのやり取りで済むかと言うと…そうではありません。やはりメールなどのツールが苦手な方は電話をかけてきますし、そもそもメールを送っても気づかないから『メール送りました』電話をかけていましたから、本末転倒です。
そんな環境にいましたし、僕とは反対に『視覚情報より聴覚情報のやり取りの方が得意』という人もいました。こういう方に文面でのやり取りを強制するのって、僕に口頭会話を強制するのと同じですから、あまりそれはしたくなかったんです。
そこで、僕自身もある程度『聞き取り能力』『聴覚情報に変える力』を付けるためにトレーニングしようと思ったのです。
そのツールに僕が選んだのは、『ラジオ』でした。ラジオがなぜ聞き取り訓練に効果的なのか、今回は2つの理由をお伝えします。
会話の聞き取り訓練のために「ラジオ」を取り入れた理由
理由1:視覚情報ゼロの環境である分、正確な口頭説明が聴ける
1つ目の理由は『視覚情報ゼロの環境である分、より多くより正確な口頭説明が聴ける』ことです。
ラジオ番組ですから当然、『視覚情報はゼロ』になります。民放のテレビ番組でよく流れる『この番組は“ご覧の”スポンサーの提供でお送りします』も、「ご覧になれない」わけです。したがってラジオではパーソナリティの方やアナウンサーの方がスポンサー企業を読み上げています。
こうしてラジオは、パーソナリティ(話し手)が何も言わなければ、今どこにいるのか、今何時なのか、どんな服装をしているかもわかりません。ですから必然的に、口頭で説明する部分が多くなります。そのため、口頭だけで状況を正確に伝える工夫がなされていることが多いのです。
僕は中学の時からずっと、伊集院光さんのラジオ番組を聴いています。これは番組内でも話されていたことでしたけど、口頭で状況説明するときのコツをこのように語っていました。
今自分がどこにいるのかを伝える時は、はじめに大きなもの、広範囲のものから順に説明していき、最後に自分について話す
例えば現地のレポートをするのであれば、
①現在の場所、地名(何県○○市~など)
②空の状況(天気や雰囲気など)
③周辺の建物や車の走る状況など
④周辺の人通りの状況
⑤自分の状況(どこに向かうのかなど目的も含めて)
こんな感じです。またさらに聞き手に想像させるゆとりもあると良い、というのは対談番組でお話しされていました(Mr.Childrenの桜井さんとの対話…だったと思います)。
こういった『聞かざるを得ない』状況で説明する表現を話し方の構成に活用することで、会話の組み立てがしやすくなりました。
理由2:聴覚情報を視覚化させる方法が見えてくる
2つ目の理由は『聴覚情報を視覚化させる方法が見えてくる』ことです。
これは聞き取るときにどんなことを言っているのかな…とイメージするときもそうですし、相手に口頭で伝える際にも共通していることに思います。
再度伊集院さんのラジオの話になるんですけど、番組内で『カレーをかけ合う』とか(最終的にはかけずに終わっている)、『スタッフのゲーム機を振り回して投げる』とか『みんなでゲームをやる』とか、見えなきゃ面白くないじゃん!って企画をよくやるんですよ(最近はなくなっちゃったかな)。
でも、面白いんです。これは理由1で話した『相手に想像させるゆとりを作る』ことにも共通していることなのですが、『言葉を視覚化させることが上手い』んです。ラジオ番組では僕ら聞き手が『何を見えていないか』を汲み取って、実況のように状態を説明してくれます。これによって聞き手も『今伊集院、社長室の前で裸になっているんだ』ということも想像できてくるわけですよ。
より、聞き手の脳内に映像が見えるように話しているわけです。
これはもちろん、噺家としても経験のある伊集院さんだからできる業ではあります。しかしこの『もし相手が何も見えない状況だったとしたら、どう説明すればよいか』というときの言葉のチョイスやタイミングなどは、参考になる部分があるのではと思います。
『見れば分かる』のヒントがないときの話し方こそ、分かりやすい口頭会話の最もたる手本だと思っているからです。
今、ラジオの表現をどう活かしている?
僕はこうしたトレーニング(厳密には楽しんで聞いていたもので、会話に活かせると意識したこと)から、いくつか口頭会話の中で活かしていることがあります。
◆相手に映像がイメージしやすくなるように考える
→相手が持つ情報で分かるような例え方をする
例.野球が好きな人なら野球に例えて話す、など
◆広範囲なもの(メインテーマ、根底となること)から順に状況説明する
→部分的なものから話しても伝わりにくいことが多かったため(位置関係が伝わらないようです。上の例で言えばどこにいるか分からないとどんなに自分の状態を細かく話しても分からない…ような)
この話し方をマスターして、僕は職場で視覚情報を交えながら後輩に仕事を教えたり、説明したりすることもしていました。相手にイメージさせるという点では、このブログでも意識している部分があります。
他にも話し方でのコツとして、記事『【発達障害】話し方の流れ、『推理小説』になってない?』でも紹介しています。併せてご覧になっていただけますと幸いです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
ラジオでなくても、今ならYoutubeなどで音声だけ聴いてみるなど、方法は増えていると思います。僕は実際自分で話していることを録音して聴いてみるということもしたことがあります。というより『声のブログ』ってやっていたくらいです(現在は閉鎖)。
そんな感じでぜひ、聴覚情報でのやり取りがどうしても求められて大変だ、というときにちょっとでも負担を軽くする方法として今回提案してみました。ぜひトライしてみようかな、と思ってもらえたらすごくうれしいです。
【セットで読むと良いかも】
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