【HSP+ASD】成長に繋がっていても嫌な過去まで美化しない理由

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忘れたいけれど、忘れられない「辛い嫌な過去」がある

ASD(自閉症スペクトラム)は、記憶力が高い特性を発揮しやすい

こんにちは。林谷です。今日は「過去の記憶」についてお話しします。

前にこちらの記事で、「ASDを持つ方は記憶力が高いケースがある」とお話ししました。
僕もこの例に漏れず、我ながら記憶力は良い方だと思っています。まだ記事をチェックしていない方は、ぜひ併せてお読みいただけますと幸いです。

実家の家族や妻からは、グーグル代わりの様に「あの芸能人の名前何?」と検索代わりによく使われます。勉強の暗記問題も、比較的覚えやすい方でした。

…とそんなポジティブな要素もありますが、辛い一面もあります。「辛くて忘れたいようなことを、いつまでも忘れられない」という点です。

フラッシュバックの様に、いつまでも嫌な記憶がよみがえる

ASD関連の記事や書籍、またはSNSの投稿などをを読んでみると、同じように『忘れられない』ことで苦しんでいる方が多いと感じました。

他の方からすれば「そんなこととっくに忘れた」というようなことをいつまでも覚えていて、自分の中で消化できずにいつまでも居座っている感じが、今の僕にもあるのです。

例えば、幼稚園から中学まで受けてきた色々ないじめ。

机や椅子中にマーカーで書かれた「小坊主」「KOBOUZU」の文字。

画鋲なりなんなり、テレビに出てくるような古典的ないじめを受けたこと。

いじめられるのが嫌で休み時間はずっとトイレに避難していたころ。挙句の果てにいじめたそいつの顔を思いっきり殴ったこと…

例えば、僕がうつになった職場。

上司から言われた「こいつは嘘ばっかり言う」という言葉。

普段の仕事で嘘をつくことはなかったはずなのに、懸命に相手の話に合わせようとした態度を言われてしまい、ガラスが粉々に割れたような感覚になったこと。

上司は自分の勝手な感情で僕を怒鳴っておきながら、周囲に助けを求め僕を一人にさせたこと。

その情景や関係者の表情まで、未だに思い浮かべては「どうして僕はいじめられたのか、嫌われたのか」「いじめられるには理由があるのだから(実際にはほとんど理由はないが、根拠のないことが許せない為)、原因を見つけて改善しないといけない」など、何十年も考え続けてきました。

自分の中での「記憶の落としどころ」を探していたのだと思います。いつまでも着地できないハングライダーみたいな感覚です。


…キリがないのでこれくらいにしておきますが、ビデオ再生の様に正確に思い出すのです。これはASDの記憶力に加えて、HSPの情報を細かく、深く捉える気質も関わっているかもしれません。

関連記事:ASD(自閉症スペクトラム)とHSP。両方持つ僕のメリット・デメリット
関連記事:ASD(自閉症スペクトラム)を持つ僕が仕事で苦しんだ上司・同僚TOP3

参考:ASDの記憶力は特徴的で良い面も悪い面もあり、支援が必要です。 八王子の発達支援教室 こどもプラスの放課後等デイサービス - 八王子市の放課後等デイサービス/児童発達支援事業 発達障害児の訓練施設
参考:HSPの能力 | HSP診断テスト

これらの嫌な過去が、現在の自分の成長に繋がっていることは事実だが…

僕は「嫌な過去」を許す気にはなれない

よく、成功者や芸能人のインタビューで「昔いじめられた経験から今の僕がいる。だからいじめた人に感謝したい」と話す方を見かけます。

これ自体は悪いこととは思っていません。その方が過去をポジティブに捉えるためのヒントになっているのなら、それで良いとは思います。

ただ、僕はこの表現、“嫌い”です。

加えて、何もかも美化する必要もないと思っています。前置きが長くなりましたが、今日は『嫌な過去を美化しないこと』について、お話しさせていただきます。

これによって、自分の辛い過去の記憶へのストレスが少し緩和されました。ぜひ一部でもあなたの辛さや、記憶に関するストレスを和らげるきっかけになりましたら幸いです。

また今回、この記事のヒントをくださったフォロワーさん「ゆきArtist palette元うつ病イラスト起業家」さん、ありがとうございます。この場をお借りしてお礼を言わせてください。

【HSP+ASD】成長に繋がっていても嫌な過去まで美化しない理由

①感謝するべき相手を正確に捉えているから

1つ目の理由は、「感謝するべき相手を正確に捉えているから」です。
例えばいじめられた過去の経験で成長できたのは、いじめた人のお陰ではありません。では誰のお陰かというと、

○辛い時に支えてくれた友達や先生たち

○あくまで普通の生活を保ってくれた家族

○その中でも生き抜いた自分の努力

これらが、今の自分の成長に繋がっているはずです。

もう一つ、職場の上司からの圧力でうつ病になったこと。

これも成長できたのは「うつ病にさせた人」のお陰ではなくて、そのあと支えてくれた医療機関や支援機関の方、家族のサポートのお陰なのです。

このように、感謝するべき相手を正確に捉え、本当に感謝したい人だけに気持ちを向けていれば良いと割り切っているためです。

②嫌う行為自体に、罪悪感を持ち過ぎないようにしているから

2つ目は「嫌う行為自体に、罪悪感を持ち過ぎないようにしているから」です。

これに関しては、HSP気質の方が特にうなづいてくれるかもしれません。

僕もそうなのですが、「明らかに自分に危害を加えている方」「自分が嫌いな方」に対しても、無理をしてでも受け入れようとしてしまうことが、僕にも良くあります。

これは、『相手への思いやり』とは少しニュアンスが違います。むしろ「嫌う行為そのもの」に強い罪悪感を持ったり、その刺激に不快感を覚えるため、それを避ける形で受け入れようとしてしまうことが理由です。

しかし、①の「感謝するべき相手を正確に捉える」ことによって「(自分に危害を加えたような)嫌いな人は嫌い」と意識できるようになり、そこから受ける刺激にも慣れることができました。

この「嫌いたい気持ち」を抑えようとすることで、自分に強い負担がかかっていたことを、後になって気づくこともできたのです。

参考:HSPによる罪悪感、イライラの改善方法とは-『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』イルセ・サン

③白黒思考(極端な思考)の考えを予防し、心の健康を保つため

3つ目は「白黒思考の考えを予防し、心の健康を保つため」です。

白黒思考とはまたの名を「0・100思考」「ゼロ・サム思考」などとも言われる、「全部か無しか」の選択が二択しかない、極端な思考のことを言います(こちらの記事で白黒思考についてお話ししています)。発達障害を持つ方の中に、この極端な思考に悩みやすいケースがあります。

この思考によって稀に高いパフォーマンスを発揮することにもつながりますが、周囲とのコミュニケーションや自身の精神面での健康状態に支障をきたしやすい一面もあるのです(~でないといけない、という縛りが増える、などから圧力がかかりますよね)。

…さて、これが今回の「過去の美化」とどうつながるかと言いますと、

嫌な記憶やその関係者まで“良いもの”と意識することは、自分の中で嫌な存在がいてはいけない“白黒思考”に繋がる

ということになります。

全てを良いものとするために、嫌な過去を美化するこの意識自体が「極端な思考」だと考えたのです。

嫌な過去は、嫌な過去のままでいい。僕は良くこの話をするときに漫画「ドラゴンボール」に例えてこう話します。

クリリンを殺したフリーザにまで、好かれようとしてどうする?許せない人は許せないままでよくないか?』と。

簡単にいうと、明らかに悪いと思う存在にまで好意を向ける必要はない、ということです。

ただ、ここからさらに仕返しだとか、新しい行為に出るとこちらの価値観の押し付けになるので、あくまでも自分の気持ちの持ちようをそうする、ということに留めています。

おわりに

これらを意識するようになってから、僕は過去の記憶を掘り返す行為が少なくなりました。

ただしまだ潜在的に、今も持つ自己否定のもとが「過去の記憶」であったりしますので、完全に嫌な記憶を振り切ったわけではありません。でも、前よりは上手く向き合える、うまく解釈できるようになったと感じています。

どうしても忘れられない、許せない過去を持つ方へ、今日の話が少しでも今を生きるヒントに繋がりましたら幸いです。



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