うつ病を発症した際の職場での体験談をお話しします
うつで休職中、職場に戻るために「復帰トレーニング」を行った
こんにちは、林谷です。今日は僕が30歳の時、警察官として働いていたころうつ病を発症し、職場復帰(=復職)のために「慣らし」の勤務トレーニングをしたときのことについてお話しします。
僕のうつ病体験については、下記の関連記事でもお話ししていますので、ぜひ併せてチェックしていただけますと幸いです。
2年間の休職期間。復職の為に2回の復帰訓練を行った
さて、この「慣らし」ですが、2年の求職期間中に2度、行いました。内容は勤務時間内に出勤し、簡単な事務作業を行い定時に帰る…のみです。作業的には「楽」です。
しかし、当時は職場にいるだけで重労働レベルの精神ダメージを感じていました(ちなみに社内の制度上、訓練扱い中は無給、交通費自己負担でした)。
そのため職場から出た時は毎日、クタクタだったのを覚えています。疲れすぎて帰りはタクシーで帰った…ということも良くあったくらいです。
あくまで復職や退職についての見解は、僕の個人的な意見になります。そのため参考の一つとして聞いていただけますと幸いです。
さて、どんな理由から「退職(再就職)」より「復職」の方が大変と感じたのか。“3つ”紹介していきましょう。
【うつ体験談】復職が再就職(退職)より大変・辛いと感じた理由3つ
①適度に達成感を得る、自信を取り戻すような仕事ができない
1つ目は『適度に達成感を得る、自信を取り戻すような仕事ができない』という点です。ハッキリ言ってしまえば、出勤してからはほぼ『放置状態』でした。戦力になれないわけですから、何を僕に任せたら良いのか、様子を見ながら依頼を受けるという形だったのです。
さらには僕もどこまでできるか分からないくらいに自信を無くしていました。そのため、積極的に「やらせてください」と言いにくく、結果簡単な表作成などの雑務を行う形が続いたのです。
この作業自体は、簡単に終わってしまいます。ただ終わってしまうと仕事がないか周りの方に聞いてみても「ない」の一言。訓練中の身であるため行動範囲がとても狭いのです。
ですから受けた作業が終わってしまうと、その次にどんな仕事が来るのか保証はありません。「ない。じっと座っていれば良い」というときもありました。
そのため訪れるのは「暇」です。暇なことがこれだけ心にダメージを与えるものだと改めて感じていました。
そんな「暇」を避けるために、簡単な表作成の仕事をまるで古いカセットテープのように、伸ばし伸ばしに引き延ばして行うようになっていました。本来は2時間くらいで終わる作業も、丸一日かけるようになっていたのです。もちろんそこに達成感を感じた事は、ありませんでした。
こういった取り組み方をしていましたから、当然「復帰しても頑張れる」という自信は持てず、「明日以降の保証がない」「戻ったら大変になる」という不安が強まる形となりました。
②周りと違う雰囲気・空気感の中での作業が辛い
2つ目は『周りと違う雰囲気・空気感の中での作業が辛い』ことです。簡単に言うと、取り残されている感が辛い、ということになります。職場に復帰するための訓練ですから、当然うつ病を発症したときの職場で行いました。うつ病の原因となった上司の監視のもと、です。
これもまた症状を悪化させた原因の一つなのですが、何よりも「自分だけ取り残された感」をひどく感じていました。具体的には
○周りが慌ただしくしている中で、自分だけ浦島太郎の様にゆったりしている。
○同じフロアにいるのに、自分だけ違う部屋にいるみたい。
○係内の会話に入ることができず、無力感を感じる。
このような「隔離された感覚」に苦しみました。①の理由で仕事がない分、さらにこの虚しさを感じる機会が多かったのです。
これらを解消させたいけれど、戦力になれる自信もないから行動することができない。そんなジレンマがじわじわと、ボディーブローのようにメンタルにダメージが重なっていったのを覚えています。
③「働くスタミナ」が不足しているため
3つ目の理由は『「働くスタミナ」が不足しているため』です。さらに言えば、そのような「体力不足になることを理解してもらえなかった」という点も入るかもしれません。
冒頭でお話ししましたが、訓練中は交通費自己負担ながら、タクシーで家まで帰ったこともよくありました。
普通に電車と徒歩で帰れば、1時間以内で帰宅できるくらいの距離です。もちろんうつ病を発症する前は普通に帰ることができたわけですが、この時は帰る気力がないくらい、疲れ果てていました。
また、朝起きるのも一苦労でした。疲れが全く抜けないまま次の日を迎える形です。
さらにはストレスが原因なのか、手が震えてまともに字が書けない、線がまっすぐ引けないということもありました。
これに対して上司が「どうしてそんなこともできないの!」と怒り。そのたび僕はさらに自信を失っていったのです。
復帰前にランニングなどで体力をつけるのですが、そういった体力と働く緊張感に耐えうる体力とは、異なるものです。ですから職場でこの体力を培うしかない…という状況はとても辛いものでした。
周りからすれば、僕は定時に出勤し、じっと座って定時まで待って、帰るだけ…です。周囲は僕が回復すれば、元の僕が行うパフォーマンスを求めてましたから。
だからかもしれませんが、「楽な仕事なのだから、疲れないだろう」という「うつ症状の根本」を全く理解してもらえなかった感に、寂しさを感じていました。
参考:うつ病|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:2.うつ病を知る
参考:うつ病に関してまとめたページ|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
【個人的意見】結果「復職」は「再就職」より難しいと感じた
うつの発症元と同じ条件下での復帰は難しい
僕の場合、同じ職場での人事異動という手段は取れませんでした。そんな理由も重なって、うつ病を発症した環境と同じ条件下で、心身を復帰できるまでに回復させる…ということはものすごく難しいことだと感じました。ですから部内異動など働く環境を社内で変えることができれば、少し状況は違っていたかもしれません。ただ当時の僕は、見知らぬ環境に足を踏み入れることへの強い恐怖感もありましたから、「復職」はかなりハードルの高いことであったのでは、と考えています。
仮にストレスの元となった方が異動などでいなくなっても、同じ場所というだけで具合が悪くなっていましたから、復帰してもその後続けることは難しかったでしょう。
「退職」したとき、肩の荷がすぅっと抜けた感覚を覚えている
僕は2度の「慣らし」復帰訓練もうまくいかず、それを機に退職を決めました。最後に挨拶を済ませ職場の建物を出た時に、ものすごく肩の荷が下り、すっきりした感覚があったのを覚えています。「もう悩まなくていいんだ」という気持ちでした。
この時、次の職場が決まっていたわけではありません。就労移行支援の様な支援機関にもお世話になっていません。完全に「ゼロ」からスタートするというのに、とても爽快な気持ちがありました。
この経験から考えて、一番当時の僕を疲れさせていたのは、「不安の元となる職場で、復帰しないと“いけない”」というプレッシャーだったかもしれません。
このような理由から、僕個人の見解では「復職より、一度辞めて再就職を考えた方が負担がかからず、社会復帰しやすい」と感じています。
今、職場のストレスなどで不安を感じている方など、参考情報の一つとしてとどめていただけますと幸いです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。この訓練中、毎日6回胃薬を飲んでいました。もちろんこの薬は多くても、毎食後くらいでよいものですが、あまりにも辛くてたくさん飲んでいたのです。
当時こんな状況を話していた、当時お世話になっていたカウンセラーの方から「命を削ってまで続けるべき仕事はない」と言われました。
その時は『自分から仕事がなくなったらどうなるだろう?』という不安があってなかなか退職を決断できませんでしたが、最終的にはこの言葉のお陰で前に踏み出すことができたのです。
今辛い、あなたの心が、少しでも元の状態に戻りますように。これからも自分の経験をもとに、微力ながら記事を書いていきたいと思います。
【セットで読むと良いかも】
○【不眠対策】心配過ぎて眠れない…うつの時も聴いた音楽アルバム4選
コメント