【発達障害・HSP当事者体験談】講師としてお話ししましたことをまとめました
就労移行支援事業所の卒業生として、体験したことを共有させていただきました
こんにちは。林谷です。今回は昨年(2020年)11月、就労移行支援事業所manabyで講師としてお話しさせていただいたことをポイントにまとめて文章化させました。この様な機会をいただき、大変感謝しております。
事業所でお話を聞いてくださった方も、初見の方もぜひこのまま文章版の"話"を聞いていただけましたら幸いです。
参考:サタレク「活かす’’特徴’’のすすめ」!!manaby横浜関内駅前事業所 -就労移行支援事業所のブログ | LITALICO仕事ナビ
【発達障害、HSPなど】活かす"特徴"のすすめ
「特徴」とは?
まず、ここでいう"特徴"とは、障害など世間一般で言われている「ハンディキャップ」と呼ばれているものです。僕自身も、発達障害のひとつであるASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けており、
併せて繊細で感受性が強い、HSPの気質も強い者です(このあと当日は職歴などの紹介をしましたが、ここでは割愛します。詳しくはこちらの記事を参考としてください。)。
ちなみに現在はライターとしてこちらのブログ記事を書きながら、アーティストとしてオンラインショップを運営しています。
就労移行支援事業所で学んだことは?
※具体的な学習内容については、こちらの記事で紹介しています。自分の強みに気づかせてくれた
通所当時は常に「僕に強みはありません」と答えていました。人を不幸にさせる特徴なら強みではない、と思っていたからです。※これは前に勤めていた会社で、自身の特徴を活かそうとしたら、煙たがられたためです。
そんな中で毎月実施していた面談でもって押し付けられることなく、少しずつ強みだと認識できるように向き合っていただけました。
最終的に履歴書には
①きめ細やかさ
②発想力
を強みとして公開しています。
就職に関する情報が豊富に得られた
それまで一人でハローワークに通ったり、インターネットで検索して仕事を探していました。やっぱり、ひとりで探すのには限界がありました。探し方は分からないし、そもそもどんな仕事が合うのか、全く見えていなかったのです。
就労移行支援事業所に通う中で、スタッフの方がピックアップしてくれた求人を見ることができました。
また、専門機関の方と相談させていただく機会もありました。
そのような絶対に一人では知ることが難しい、客観的な見解や情報を得られたことが大きかったです。
障害など"特徴"を持ちながら働くことについて、不安…
働く、ってどんなことなんだろう?という先の見えない不安がある
障害や気質、または環境などが原因で職歴がない、という方もいるかも知れません。また僕もそうでしたが、過去の職場でうまくいかなかった、辛い思いをした、体調を崩して辞めてしまった...という方もいるでしょう。
このような状態だと、働くこと自体のイメージが見えづらいかも知れないですよね。
障害や気質など"特徴"を持ちながら働く際のポイント
職場に「入ってから何とかする」は危険
ポイントは、「問題は職場に入ってから何とかしよう」では危険ということです。
こういう時に「自分もとりあえず就職しなきゃ」と焦るのは、危険なことですよということをお伝えしたいです。
障害を持つ方、特に精神・発達障害を持つ方の離職率はかなり高く、入って1ヶ月から3ヶ月で辞めてしまう方も多くいます。
それは職場の社風や環境、社員とうまく噛み合わず、辞めてしまうというケースが多いからです。
これはあくまで傾向ですが、障害などを持たない、俗に言う「定型」や「健常」と呼ばれる方は得意・苦手のムラがないケースが多いです。
少なくとも多くの企業が求めている項目の中で、飛び抜けてできないということは少なく、後で苦手が分かってもカバーできるかも知れません。
しかしながら、障害を持つ方はその項目のなかで「どう頑張ってもできないこと」が生じるケースが多いのではないでしょうか。
特に発達障害や精神障害を持つ方の場合は、それが視覚や形として見えない分、分かりにくいこともあります。
電話対応ができない、眩しいのが辛い、とあっても、自己申告だけで受け止めにくいのが現状だと思います。
筆者自身も凹凸ならではの「どうしてもできない事」に悩んだ
僕も例に漏れず、"男性は必須"と言われた「車の運転」ができません(実際には必須でないケースもありますが、面接で言われたことがあります)。またオフィスワークにおいて、他者の感情に囲まれて働くことが辛くなる。これこそまさに理解されない「特徴」でした。
職場で働き続けるために、これらのポイントを改善させようとしました。
特に他者の感情について、意識的に感度の高い「アンテナ」をへし折って「感知しないことを意識する」こともしました。
簡単にいうと、強引に気にしないようにしていたということです。しかし、そもそも気になるものを矯正して気にしないように力をかけているわけです。余計に体力が奪われるだけで、長くは続きませんでした。
また、仮に改善できたとしても、一つの穴が埋まるだけです。そうなると、さらに働くことに自信をなくしてしまうだろう、そう考えています。
長く働くポイントは、「スタート」だと考えている
スタートとは、具体的にはどんなこと?
このようなことから踏まえ、特徴や凹凸を持つ方が働くことのポイントは、「スタート」だと思っています。どんなことか?就職直後!?いや、そのさらに前、就職前になります。
具体的な例を下記にまとめてみました。
○どんな作業なら、無理に疲れず自然とこなせるか
※臨機応変な対応など、いつ来るか分からない状態があるか、など
○一般的な仕事にはどんなシステムがあって、その中で合っているもの、合わないものはどんなことか
※電話で応対する機会があるのか、話すのは内部の方とだけなのか、社外の方とも話す機会があるのか、など
○やりたい仕事の行程の中に、できないことはないかどうか
※やりたい仕事ではあるが、報告や多方面への伺い作業など、複雑なコミュニケーションがある、など
このように、就職前に「入ったあとの自分をイメージすること」が大切です。
どうイメージすれば良いのか?
では、この就職後のイメージをどう作っていけばいいのか。
まず、働きたい企業や働き方がどんなものか確かめてみることです。これは今でも実践している方もいると思います。
これは企業のホームページなどをチェックすることや、事業所に通っている場合はスタッフの方に相談してみるのも方法の一つです。
もう一つ、大切なのは「自分自身」を正確に知ることです。就職後「ずれ」を感じるのは、おそらくこちらの理解が不足していることも大きいのではと考えています。
できると思っていたことが、実際入ってみたらできなかった、
自分が思っていた以上に、負担を感じる作業だった…などを感じやすい場合、自分自身を見つめ直す必要があるかもしれません。
これがないと、相手企業について何も知らないまま応募するのと同じくらいリスキーなことだと思います。
だからこそ、相手も自分も正確に理解していないと、どこかでずれが生じやすくなってしまうのです。
仕事がうまくいかないのは、本人の実力不足とは限らない
相手企業と自分との「パズル」が合うか、合わないかがポイント
仕事がうまくいかないのは、本人の実力不足である可能性もあるでしょう。しかし、それと同じだけ「企業が社員を活かす力がなかった」可能性もあるのです。仕事を辞めて、自分を責めていませんか。
こう言いながらも、僕も自分自身を説教部屋に叩き込んで怒鳴り散らすくらい、自分を責めてしまいます。
でも、知識だけでもいいです。「パズルのように組み合わないと、双方の力は活きない」ということを覚えておいてください。
僕も責めやすいですが、何とか意識していきたいです。
おわりに
いかがでしたか。僕も現在、フリーとして活動していますが、残念ながら現時点では「成功例」としてお伝えすることはできないです。まだまだ僕も経験を積む必要があります。
あくまで今回は、その経験を積むために取り組んでいること、としてお話しさせていただきました。
この話がより確かなものとするためには、僕自身もまだまだ努力しなくてはなりません。したがって今の僕は、皆さんを引っ張ることはできません。でも隣を歩くことはできると思い、今回こうして言葉としてまとめました。
少しでも、「前に進みたいけど、進む気になれない」「進むことに抵抗がある」という方の重荷が軽くなりますように。
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