発達障害、HSP当事者講話②テレワーク・在宅勤務体験で感じた事

発達障害・HSPアイコン

お世話になった就労移行支援事業所にて講師活動してます

ご好評いただき、第2回の講師をさせていただきました

こんにちは。
林谷隆志といいます。

僕自身発達障害のひとつであるASDの診断を受けており、かつ繊細な気質を持つHSPの特性を持っています(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。


そんな僕が事業所利用者・卒業生の一人として、昨年9月の超福祉展の開催シンポジウムの出演をきっかけに事業所のレクリエーション内で講師としてお話しさせていただく機会をいただいたものです(超福祉展出演に関する記事はこちら)。


去年の11月にこちらでお話しさせてもらって以来、有難いことにご好評いただきまして、2回目の機会をいただくこととなりました。

アンケートにご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。

さて前回は僕の自己紹介も踏まえながら、障害などの特徴を持ちながらどんな働き方を探していくのか、という内容についてお話ししました。※前回講師でお話ししたことをこちらの記事にまとめました。併せてご覧下さい。

さて、今回はタイトルの通り、「テレワーク・在宅勤務」をテーマに、

○実際に僕が体験して感じたメリット

○働くうえで課題となった、スタート時に感じたデメリット

この2つについてお話ししたいと思います。

【はじめに】在宅勤務、テレワークはどう違うの?

微妙に意味合いは異なるが、類似したものとして使われている

まず本題の前に、知っている方もいるかも知れませんが、在宅勤務とテレワークについて少し説明します。

最近になって「テレワーク」という言葉が浸透し始めましたね。ニュースなどを見ると、”家”で仕事をするように感じやすいです。

そうなると在宅勤務も同じ意味では?と思うこともあるかも知れません。ということで、知っている方も多いと思いますが、ここで「テレワークと在宅勤務」について少し説明させてください。

在宅勤務は、文字通り自宅で勤務することです。

中には企業の契約で、原則自宅以外で仕事をしないように記されている場合があります。

一方テレワークは、そもそもが離れたところで”という意味を持つ「テレ(tele)」、と仕事の「ワーク(work))を加えた言葉なんですね。

「テレ」だと中には「電話」や「通信」をイメージする方もいるかも知れませんね。しかし実際には会社から離れた場所で仕事をする意味で使われています。

ただ、実際には多くのテレワークは自宅で行うことが多いため、類似した言葉として活用されているケースが多いです。

ぜひ、求人票の勤務形態や条件などを見る際の参考としてみてください。


【体験談】在宅勤務・テレワークの仕事で感じたメリット

では、本題に入りますね。
まず、在宅勤務で感じたメリットについて。大きく分けて3つに分かれます。

○周囲の人や環境からの影響が少ない

○比較的、対応やコミュニケーションの形が分かりやすい

○通勤というハードルがないため、出勤しやすい

この3つです。

メリット1:周囲の人や環境からの影響が少ない

まずメリットとして挙げるのは、「周囲からの影響が少ない」ことです。

これは発達障害を持つ方に多い「感覚過敏」などで辛い思いをしている方も多いのではと思います。いくつか例を挙げると、

◇陽の光が眩しくて辛い

◇不快な臭いが気になる

◇他人の話し声やキーボードを打つ音など、嫌な物音が気になる

など、このような仕事の作業量や内容と関係のないところで悩んではいませんか。どうしてもオフィスだと、自分に合わない環境や条件がいくつか出てくるケースが多いでしょう。

僕は聴覚が過敏で、特にひそひそ話の音質が嫌いでした。かつ、HSP気質が強いからか、
他人の感情に敏感に反応してしまい、あれこれ気を遣っては疲れ果ててしまう…ということもありました。


ところが在宅になってからはこれらのストレスがなく、自宅にて純粋にある力を発揮できる実感がありました。

メリット2: 比較的、コミュニケーションの形がシンプルになりやすい

次のメリットは、「コミュニケーションの形がシンプルになりやすいことです。

これはオフィスワークを経験していると分かると思いますが、色んな対人関係がありますよね。例えば、

◇社員との世間話、先輩に媚を売ったりなど、仕事とは直接関係のないコミュニケーションを求められるときがある→好かれないと仕事の質に関わる(僕はこれが嫌いでした。仕事の本質で認められないところが)

◇あっちの人からもこっちの人からも、と関わりがマルチタスク・双方向になりやすい

などありました。

僕は仕事の本質と関係ない話をする必要性が分からなかったので、うまく関われませんでした。しっかりと仕事をこなせば認められる…とは限らない不公平感を持っていたのです。好かれたもん勝ちじゃないか、と不満を抱えることもありました。

かつ、一度に複数の対人タスクを意識することも辛かったです。特にAさんとBさんで反対のことを言っている…など、相反する意見や見解をどう処理しようか、なども良く迷ったところです。

対して在宅勤務は、基本的に直接の仕事相手とチャットなどのツールを使い、必要な連絡のみで仕事を行う…という形でした。

世間話などは原則、ありません。少なくとも僕が経験した仕事ではなかったです。

世間話などがなくやり取りがシンプルになる理由は、文面内だと必要事項が分かりにくくなるからです。

Web上の会議なども経験しましたが、あまりそのような会話はない傾向に感じています。ですから不要な会話について考えることが減り、必要なコミュニケーションに絞れました。

こうして僕にとって、シンプルにやり取りができるので、心身への負担が少なくなったのです。

メリット3: 通勤というハードルがないため、出勤しやすい

最後のメリット「通勤というハードルがない」です。

これもオフィスワークを経験した方はイメージしやすいのでは、と思います。

どうしても通勤がある場合、

◇着替えや定期券など、出勤のために支度しないといけない
→過去に、ここで気持ちが萎えることもありました

◇会社に行く体力も考えないといけない
→満員電車や通勤経路で疲れることもありました

◇忘れ物などが生じるリスクもある
→実際に忘れなくても、「忘れ物はないかな」「鍵かけたかな」という心配で精神的負担になったこともありました

など、今日は仕事ができるぞ」と思うまでにハードルがあるんですよね。僕は過去にうつ病の発症を経験していますが、この特にうつ症状が出ていたときは、相当高いハードルに感じていました。

普段も例えば僕の場合、気圧が下がると体が動かなくなるくらい体調を崩すんですね。でもだいたい午前中いっぱいゆっくりしていれば回復するんです。ただ朝に会社に行けない=仕事ができないとなるので、休むことが多かったんです。




でも在宅であれば、極論ですけど与えられたことができれば自由が効きやすいです。

僕の場合ライターのお仕事でしたから、朝気圧で不調だけど休むまでではないなというくらいなときは、ベッドの上で横になったままスマホで原稿を打ってました。のちに体調が戻り次第パソコンに向かう…なんてこともありました。

フリーになってからは、パソコンに向かうのが辛いときはスマホの音声入力で記事を書いたこともあります。

こうして、自分の体調や状態に合わせた仕事の工夫をしやすいのもメリットです。

この3つが、在宅勤務で体感したメリットです。

【課題】在宅勤務、テレワークで感じたデメリットは?

次に、在宅勤務で感じたデメリット、デメリットというよりはクリアしないといけなかった課題という意味合いのほうが近いです。

ということで、その課題にどう対処したかも併せて紹介していきますね。

デメリット1:達成感が分かりにくい

達成感が分かりにくいとは、一人で作業しているので、周りには当然誰もいません。

先程周囲からの影響が少ないメリットについてお話ししましたが、自分の仕事によってどんな影響があるのか、どんな効果があるかなど良い影響も感じにくい一面もあります。

 分からずに「僕はちゃんと仕事できているのかな?」「僕、頑張れているのかな?」と、しっかり業務をこなせているにもかかわらず、悩むことがありました。

どう対処した?

在宅勤務・テレワークの弱点である「姿や行動が見えない」現状を埋めるべく、作業内容などをひたすら視覚化しました。

具体的には勤務状況や今後の計画など、表やグラフなどにして共有するなどです。感覚的には、頭の中を実況中継する感じですね。

僕の場合ライターなので、記事の件数なども数字などで明確にさせ、これだけやってますということを分かりやすくしました。

これは相手にはもちろん、自分自身にも明確な形に残すことで、達成感として感じ続ける工夫でもあります。

デメリット2: 言葉のやり取りが事務的になりやすく、冷淡に感じやすい

次に、言葉が事務的になりやすい点。分かってはいながらもどうしてもロボットのような、冷淡さや無機質さを感じてしまうときがありました。

先程世間話などがなく、シンプルなコミュニケーションにしやすいとお話ししました。

これに相反するポイントとして、メールやチャットなどでは話し相手の温度が分からないことがあります。

テレビ通話などでやり取りしたこともありましたが、分からないことがあったほどです。

これはお互い通話に慣れていないこともあると思いますが、「通話用の話し方」になってしまうんですよね。だから対面で話すときと比べて感情は見えにくい…というのが僕の感覚です。

そのため、やはり離れていると相手の感情や温度って、見えにくいものです。

この結果相手のメッセージだけでは怒っているのか、ただの連絡事項なのか分かりにくいことがありました。

また相手が怒っていたとしてもその度合いが分からないなど、言葉だけで相手の真意を理解することの難しさに苦しみました。

冗談の「ちゃんとしてよ」と、本気の「ちゃんとしてよ」が、同じに感じることもあるのです。

どう対処した?

言葉が事務的になりやすい点に関しては、相手の意図なども「これは〜という解釈で合っていますか?」など、自分の解釈と相手の意図をすり合わせることをしました。

とにかく、オフィスワークで 見れば分かる ことを埋めるべく、在宅勤務ではとにかく言葉などで見える化させ、お互いの安心感を保つよう工夫しました。

また、これは当日お話ししていないことなのですが、「どう受け取ったか」「どう感じたか」など、(相手の言葉に対しての)自分の受け取り方について相手に伝えることを大切にしていました。

当日お話しした後、チャットでの個別相談の時間がありました。そこでのやりとりで僕が相手の方のメッセージに対して「~さんの言葉から、すごく丁寧さが伝わりました」と何気なく僕が返したんですね。

これは文面上では分かりにくい感情を伝え、誤解を招くことを防ぐためです。オフィスワークなどでは分かる「表情」「声色」がテレワーク・在宅勤務では分からない為、これを埋める形です。

当日講師として終えた帰り道で、相談者の方とのやり取りを思い出しながら「そういえば、どう映っているか相手に伝えるのって大切だよなあ」と思ったので、ここで追加しておきますね。

このテレワーク上でのコミュニケーションに関しては、後日別記事でさらに詳しくお話ししていきたいと思います。

デメリット3:テレワーク・在宅勤務でも対人関係の相性はある

3つめ。離れてのやり取りでも対人関係や相性は関係することです。

在宅勤務で直接関係がないからストレスがない、というわけにはなりませんでした(詳細は、こちらの記事をご覧ください)。

対面しないやり取りだからこそ様々な憶測を自分の中で持ってしまい、それがストレスになっていた点もありました。

かつ、言葉や意思のやり取りがある以上、やはり人と人の合う・合わないは避けられない…というのを肌で感じたものです。

僕は結局仕事相手の方と感覚が合わず、1年で700件以上の記事作成などを行った後退職して今に至ります。

ですから在宅勤務になったから、対人関係で悩むことがなくなるとは限らないことをお伝えしておきます。


どう対処した?

対人関係に関しては、オフィスワークと同じです。事前の調査や面接などで相性がどうか確かめていくことが大切だと感じています。

その点を踏まえて、今自分に合う働き方を再度探しています。

おわりに

いかがでしたか。

今コロナ禍の影響もあり、テレワークや在宅勤務が増えてきています。そのため業種も様々で、これからも増えていくのではないでしょうか。

だからこそ自分のこれまでの経験や特性を把握しつつ、「在宅だから自分に合う」の先「在宅のどの仕事が自分に合う」というスタンスでお互い考えていきましょうね。



【セットで読むと良いかも】



コメント